演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

医薬品開発を巡る状況と政府の取り組みについて

演題番号 : S4-1

[筆頭演者]
河野 典厚:1 

1:厚生労働省医政局研究開発振興課

 

必要な医薬品がタイムリーに医療現場に届かない、いわゆるドラッグラグについて、我が国では2004年の時点で欧米に比べ約30ヶ月のラグがあるとの指摘があった。この改善を目指し、政府としては(独)医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査体制強化等、様々な方策を講じた結果、2000年に承認した医薬品の審査期間28.3ヶ月(中央値)に対し、2013年には10.1ヶ月となり、米国の10.0ヶ月、欧州の16.6ヶ月に比較しても遜色ないレベルになった。(日本製薬工業協会リサーチペーパーNo.63, 2014)。臨床開発期間(初回治験計画届提出日~承認申請日)についても、2000年承認品目79.6ヶ月に対し2013年には35.3ヶ月と半減以上の短縮が見られる。政府としてはこれまでもPMDAでの薬事戦略相談の実施、臨床研究中核病院の整備等、治験・臨床研究活性化のための様々な方策を講じているが、近年では、個別化医療が進展する一方で、医薬品開発が一層困難を極め、製薬企業の医薬品開発に係るビジネスモデルとしてはアカデミア等との連携強化など、開発リソースの多様化を図る傾向が見られる。今後の医薬品開発については一層のグローバル化・ネットワーク化が求められており、アカデミア等もこれら開発環境の変化に十分応えられることが必要である。
このように、政府としての治験、臨床研究の活性化のための取り組みが進められる一方で、昨今、我が国の臨床研究の信頼性を損なう事案が複数報告されている。これらの事案は、事実と異なる結論が医療現場に広く周知された。このことから、医療現場の医師・患者に影響を与え、また、我が国の臨床研究に対する国内外からの信用をも失うこととなり、我が国の科学技術全般への影響や新たな治療手段や新薬開発等への影響が懸念される。このような状況を踏まえ、厚生労働省は、臨床研究の質の確保、被験者保護、研究機関と製薬企業間の透明性確保等について、「臨床研究に関する倫理指針」見直しの一環として必要な対応を図るとともに、臨床研究に係る法律案の検討を進めている。
今回のシンポジウムにおいては、このような臨床研究を巡る昨今の状況、政府の取り組み等について紹介したい。

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