演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

がん患者のリハビリテーションと栄養

演題番号 : S2-1

[筆頭演者]
大野 綾:1 

1:社会福祉法人聖隷福祉事業団総合病院聖隷浜松病院リハビリテーション科

 

「がんと生きる」患者は、様々な障害を抱えている。がんにおける障害には、がんそのものが原因で生じるもの、またはがん治療に伴って生じるものなどがあり、多岐にわたる。がん患者に対し、診断早期から治療期、緩和期に至るまで経過を通して障害と生活に対するアプローチ、すなわちリハビリテーション(以下リハビリ)が重要である。
一方でがん患者では複数の原因で栄養障害を高率にきたしやすい。またがん悪液質では炎症性サイトカインや腫瘍産生因子などの影響により筋崩壊をきたす。栄養障害、悪液質、治療中の安静は筋力低下、運動能力の低下、ADL低下を引き起こす原因となる。がん患者に対してリハビリを行うにあたり、悪液質の程度や栄養状態の評価は非常に重要である。
運動療法により炎症反応を抑制し筋肉量を維持できるとして、運動療法が悪液質に対する治療に有用との知見もある。Fearonらは、「cachexia」の段階において栄養介入と抗炎症治療、運動療法などの集学的治療を行うことを推奨している。診断早期から栄養管理とリハビリ(運動療法)を組み合わせることで治療への耐性を改善させ得る可能性がある。がん治療において治療を継続できる身体状態を維持することが重要であり、栄養介入を行いながらのリハビリはがん治療の支持的療法としての意義もあると考える。
がんサバイバーに対する運動療法の意義も示されている。特に乳がん患者では、診断後の体重増加が生存率や再発リスクに関係することが示されている。がんサバイバーの再発や合併症を予防し健康状態を良好に保つために栄養管理を行いつつのリハビリ(運動療法)が重要である。
がん進行期、終末期においては、栄養障害や悪液質はさらに深刻な問題となる。この時期のリハビリの主な目標としては、できるだけ身体機能を維持し残存能力を活かしてADL維持を図ること、倦怠感や身体症状の緩和などがあげられる。全身状態や栄養状態に合わせたリハビリを行うことが必要となるが、進行期・終末期における適切な 運動療法の内容や強度などについて具体的に示すエビデンスは依然乏しい。
がん診療において診断早期から終末期に至るまで「リハビリ」と「栄養」をタイアップさせて関わることができれば、がん患者が「がんとよりよく生きる」ことに寄与できると考える。がん患者のリハビリと栄養に関して、最近の知見と当施設での取り組みを紹介したい。

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