演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

進行性腎癌に対するVEGFR-TKI分子標的治療による腎機能への影響の検討

演題番号 : P97-3

[筆頭演者]
近藤 恒徳:1 
[共同演者]
高木 敏男:1、大前 憲史:1、小林 博人:1、飯塚 淳平:1、橋本 恭伸:1、吉田 一彦:1、福田 洋典:1、田邉 一成:1

1:東京女子医科大学泌尿器科

 

<緒言>進行性腎癌に対する薬物治療では、1st-lineとしてVEGFR-TKIが用いられることが多い。VEGFR-TKIの副作用として腎機能低下は報告されているものの、実臨床における影響は明らかではない。また治療前から腎機能低下を有する症例に対する腎機能への影響も明らかにされていない。本研究では当院において1st-lineとしてVEGFR-TKIが使用された症例において、治療中の腎機能の変化を検討した。
<対象>当院において進行性腎細胞癌の治療として1st-lineでVEGFR-TKI(ソラフェニブ(SOR群)、スニチニブ(SUN群)を投与された138例を対象とした。腎機能は日本人用推定糸球体濾過量(eGFR)を求め、eGFR低下率の推移を検討した。投与量は標準的投与量を基本としたが、年齢、術前腎機能、PSなどをもとに症例によって減量を行った。
<結果>SOR群46例、SUN群92例であった。投与期間はSORA12.7±12.8ヶ月(中央値6.9ヶ月)、SUNI11.2±11.4ヶ月(中央値7.8ヶ月)で差は無かった。投与前eGFRはSOR群53±21ml/min/1.73m2、SUN群47±16ml/min/1.73m2であった。治療開始後3,6,9,12、15、18、21、24ヶ月の平均eGFR低下率は、SOR群7.6、6.0、0.6、-6.3、0.0、-4.1、-12.3、-12.6%、SUN群では-2.1、-6.8、-8.9、-13.8、-17.7、-27.2、-26.1、-22.0%と、どのタイミングにおいてもSUN群のほうがeGFR低下率は大きかった。またSOR群では投与後1年以降で低下していくのに対して、SUN群では経時的に腎機能への影響が蓄積していく傾向が認められた。治療前の慢性腎臓病(CKD)のステージによって治療後6ヶ月の平均eGFR低下率を比較すると、非CKD症例ではSOR群-1.2%、SUN群-12.7%(p=0.13)、CKDG3a症例ではSOR群5.6%、SUN群-6.7%(p=0.12)、CKDG3b症例ではSOR群21.1%、SUN群-8.7%(p=0.02)、CKDG4以上症例では、SOR群9.4%、SUN群-9.9%(p=0.15)と投与後短期間では術前腎機能とeGFR低下率には有意な関係は無かった。
<結語>進行性腎癌患者に対するVEGFR-TKIでは腎機能への影響はスニチニブのほうが大きい傾向があった。しかしソラフェニブでも1年以上の長期投与では腎機能低下がみとめられた。投与後短期間でのeGFR低下率は、治療前腎機能によらずほぼ同程度であった。しかしCKDG4以上の高度腎機能低下例に対しては治療の目的によって薬剤選択を考える必要はあると思われる。

キーワード

臓器別:腎・尿路・膀胱

手法別:分子標的治療

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