演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

下大静脈腫瘍塞栓を伴う腎癌に対するスニチニブの術前治療効果の検討

演題番号 : P97-1

[筆頭演者]
氏家 剛:1 
[共同演者]
植村 元秀:1、吉田 栄宏:1、河嶋 厚成:1、永原 啓:1、藤田 和利:1、木内 寛:1、今村 亮一:1、宮川 康:1、野々村 祝夫:1

1:大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学(泌尿器科)

 

【背景と目的】
下大静脈腫瘍塞栓を伴う腎癌治療においては、腎摘除術および下大静脈腫瘍塞栓摘除術が標準治療ではあるが、下大静脈腫瘍塞栓の進展度によって、手術侵襲が大きく異なってくる。手術侵襲の低減を目的として、術前に分子標的治療薬を導入することは一つの選択肢ではあるが、エビデンスの確立に至っていないのが現状である。今回、当院において、下大静脈腫瘍塞栓を伴う腎癌に対するスニチニブの治療効果について検討を行った。
【対象と方法】
2010年1月より2014年4月に、下大静脈腫瘍塞栓を有する腎癌患者に対して、術前分子標的治療薬としてスニチニブを投与した7例について後方視的に検討を行った。治療効果判定においては、腎主病巣の最大径、腎静脈流入部から腫瘍塞栓先端部までの距離、Novick分類による腫瘍塞栓先端部の高さ、および病理組織学的変化で検討を行った。
【結果】
男性6例、女性1例。年齢は57歳~75歳(中央値66歳)。右6例、左1例。病理組織診断は、2例が淡明細胞癌、1例が乳頭状腎細胞癌、4例は不明であった。治療前の腫瘍塞栓先端部は、Novick分類において、レベル1(腎静脈流入部より2cm未満の下大静脈内)が1例、レベル2(肝静脈流入部までの下大静脈内)が2例、レベル3(横隔膜までの下大静脈内)が1例、レベル4(横隔膜を超える下大静脈内および心房内)が3例であった。スニチニブの投与期間に関しては、1サイクルが4例、3サイクルが1例、4サイクルが2例であった。腎主病巣に関しては、4例が縮小を認めた。その一方、下大静脈腫瘍塞栓に関しては、1例が退縮(レベル2からレベル1へ)を認めたのみで、5例は変化を認めず、腫瘍塞栓の延長を認めた症例が1例あった。7例中2例に腎摘除術および下大静脈腫瘍塞栓摘除術を施行したが、そのうちの1例は腫瘍塞栓レベルに変化はなく、術前治療の目的を果たした症例は1例のみであった。3例で病理組織学的検討を行ったところ、2例においては、下大静脈腫瘍塞栓部の腫瘍の大部分が壊死変化を認めたものの、画像上の腫瘍塞栓レベルの退縮は認めなかった。
【結論】
下大静脈腫瘍塞栓に対する治療効果については限定的であり、効果を示さない場合は手術の時期を逃すことにもなりかねず、スニチニブによる術前分子標的治療薬の導入に関しては、推奨されるべきものでは無いと考えられた。

キーワード

臓器別:腎・尿路・膀胱

手法別:分子標的治療

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