演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

当院にて最近経験したSTUMPの1例

演題番号 : P91-7

[筆頭演者]
飯田 哲士:1 
[共同演者]
宮武 典子:1、西村 修:1、中沢 和美:1、小松 伸和:2、佐藤 慎吉:3、三上 幹男:4

1:東海大学医学部付属大磯病院婦人科、2:東海大学医学部付属大磯病院中央臨床検査科、3:東海大学医学部付属大磯病院病理診断科、4:東海大学医学部付属病院専門診療学系産婦人科

 

【目的】子宮体癌取扱い規約に定められた平滑筋腫瘍には、その組織学的悪性度によって、3つの異なるカテゴリー、すなわち、Cellular leiomyoma富細胞平滑筋腫(A群)、Smooth muscle tumor of uncertain malignant potential;STUMP(B群)、Leiomyosarcoma平滑筋肉腫(C群)が存在する。特にSTUMPは、「良性とも悪性とも確実には診断できない」悪性度不明な腫瘍とされ、報告例も少なく、その病理組織学的診断基準に普遍的なものを見出すのは難しい。今回、当院にて初回治療が施行され、STUMPと診断された症例を経験したので報告する。そして、当院におけるこれら3群の平滑筋腫瘍の、初回治療終了後の転帰について調査し、特に前2者についての適切な管理について文献的考察をふまえ検討した。
【症例】39歳、4妊3産。近医にて子宮筋腫と診断され当院紹介。エコーにて子宮体部前壁、後壁、頚部後壁に多発性の最大40×28mmの低エコー腫瘤を認め、筋腫の存在が疑われた。約1年の経過観察の間に、過多月経と腫瘤の増大を認め、悪性疾患の存在も否定できず、単純子宮全摘および両側付属器切除施行となった。摘出子宮の割面において、体部後壁の主病変の腫瘤断面は黄白色でやや変性を疑う肉眼所見であった。病理組織学的には細胞密度高く、不規則な柵状配列を呈し、一部の細胞には軽度の凝固壊死を認めた。また、多核巨細胞が散在するが、分裂像はごくわずかであった。特殊染色で、SMA陽性、デスミン陽性、ER(++)、PR(++)、MIB-1 index 5%であった。以上よりSTUMPと診断され、特に追加治療なく、現在術後10か月であるが問題なく経過している。
【考察】2005年より2015年の10年間において、当院で病理組織学的に診断された子宮体部平滑筋腫瘍のうち、A群は6例、B群(STUMP)は今回の1例のみ、C群はなかった。A群の年齢期間は44歳から60歳(中央値48歳)で、A、B群の7例はいずれも単純子宮全摘+両付属器切除が施行された。追跡可能な範囲で、これらの中に他臓器転移をきたした症例や死亡症例は存在しなかった。
【結論】従来、Cellular leiomyomaと診断されていたものの中にも、STUMPと診断するのが適当と思われる症例は存在するものと考えられる。Cellular leiomyomaと診断され、のちに他臓器転移をきたした例や、STUMPと診断され、のちに多発肺転移を生じ化学療法施行となった症例も報告されている。従って、術後においても注意深い経過観察が必要である。

キーワード

臓器別:子宮

手法別:病理

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