演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

潰瘍性大腸炎術後の回腸嚢炎経過中に発症した回腸嚢癌の1例

演題番号 : P72-3

[筆頭演者]
北原 知晃:1 
[共同演者]
大城 崇司:1、大城 充:1、徳山 宣:2、門屋 健吾:1、川満 健太郎:1、佐藤 礼実:1、高木 隆一:1、森山 彩子:1、瓜田 祐:1、吉田 豊:1、田中 宏:1、長島 誠:1、岡住 慎一:1、加藤 良二:1

1:東邦大学医療センター佐倉病院外科、2:東邦大学医療センター佐倉病院病理診断科

 

潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis;以下、UCと略記)は、主として粘膜を侵し、しばしばびらんや潰瘍を形成する大腸の原因不明のびまん性非特異性炎症である。薬物療法や血液成分除去療法により内科的にコントロールが可能な症例も増えている中、治療抵抗性のため外科手術が回避できない症例も、UC罹患者数の増加に伴い少なくない状況にある。UCに対する手術療法は、現在大腸全摘および回腸囊肛門吻合術(Ileoanal anastomosis;以下、IAAと略記)あるいは回腸囊肛門管吻合術(Ileoanal canal anastomosis;以下、IACAと略記)が標準術式とされている。最も多い術後合併症として回腸囊炎が報告されているが、その頻度は本邦では5年で13.6%、10年で21.7%である。回腸囊炎の経過中に回腸囊癌が発症したとされる症例報告も認められるが、その発癌過程、機序については一定の見解が得られていない。今回我々は、難治性のUCに対して大腸全摘、IAAおよび回避的回腸双孔式人工肛門造設術を施行し、術後16年目に回腸囊炎が発症し、その経過中に癌化した症例を経験したので報告する。
症例は60歳代男性。23年前に潰瘍性大腸炎を発症し、内科的コントロール不良のため発症より5年後に下行結腸切除術およびハルトマン手術を行った。その1年後に残存大腸の全摘とh型パウチによる回腸囊肛門吻合術および回避的回腸人工肛門造設術を施行している。人工肛門は本人の希望によりその後閉鎖されることはなかった。術後16年間特に問題なく経過していたが、当院受診の1年前から肛門より出血、排膿を認めるようになった。回腸囊炎と診断され内科的治療を行ったが改善なく、当院へ精査加療目的に紹介となった。下部消化管内視鏡検査にて回腸囊に5型腫瘍を認め、生検の結果回腸囊癌と診断されたため、回腸囊摘出術を施行した。UCの術後経過においては、回腸囊癌発生の可能性に留意し、定期的な内視鏡検査を行う必要があると考えられた。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:診断

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