演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

マウスがん悪液質モデルにおける心筋萎縮の進展は腫瘍移植部位により異なる

演題番号 : P51-2

[筆頭演者]
松山 竜三:1,2 
[共同演者]
石川 剛:1,3、岡山 哲也:1,3、岡 要:1,2、安田 知代:1、土井 俊文:1、坂元 直行:1、古倉 聡:1、内藤 裕二:1、伊藤 義人:1

1:京都府立医科大学医学部消化器内科、2:京都府立医科大学大学院医学系研究科がん免疫細胞制御学、3:医療法人財団康生会武田病院消化器内科

 

【背景】がん悪液質形成には、腫瘍由来因子の他、癌と宿主との相互反応により産生される様々なサイトカインなどが関わっており、がんの発育環境は悪液質進展にも影響すると考えられる。一方、がん悪液質患者では骨格筋の萎縮だけでなく、心筋萎縮・心機能低下も来すことが近年報告され注目されている。今回、マウス大腸がん移植モデルを用いて、がんの移植部位の違いが悪液質形成に及ぼす影響について検討した。
【方法】マウス大腸癌株colon26を1×106個 BALB/cマウスの腹腔内または皮下に投与し、腹膜播種モデル(IP)、皮下移植モデル(SC)を作成した。担癌後14日目に解剖し体重・精巣上体脂肪重量・腓腹筋重量・心筋重量を比較検討した。また、血漿中の各種サイトカインをBioPlex array systemにて、Myostatin・Activin AをELISAにて、さらに筋萎縮に関わる筋特異的ユビキチンリガーゼであるMuRF-1・Atrogin-1の腓腹筋および心筋における発現をRT-PCRにて評価した。
【結果】非担がんマウスと比較し、担がんマウスでは体重、精巣上体脂肪重量、腓腹筋重量が有意に減少した。IP群とSC群との比較では、IP群において体重、精巣上体脂肪重量、腓腹筋重量が有意に減少した。心重量はSC群では有意な低下は認めなかったが、IP群では有意に減少し、心筋中のMuRF-1およびAtrogin-1の発現も有意に増加していた。担癌マウスでは、IL-6, IL-10などの多くのサイトカインとActivin Aの上昇を認めた。 SC群を19日目まで観察すると、精巣上体脂肪重量、腓腹筋重量は14日目と比しさらに減少したが、心筋重量は変化しなかった。
【考察】本検討において、IPモデルはSCモデルに比し強く悪液質を誘導し、さらにIPモデルでのみ心筋萎縮を来すことが示された。腫瘍の発育部位の違いが、循環サイトカインの差となり、これらが悪液質形成の量的および質的差に影響していることが考えられた。悪液質に伴う心筋萎縮・心機能低下は患者生命予後にも深く関わっており、その機序の解明は、癌患者の予後改善に重要であり今後さらに検討が必要と考える。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:基礎腫瘍学

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