演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

若年に発生し急激な経過をたどった前立腺線維肉腫の一例

演題番号 : P42-6

[筆頭演者]
川村 裕子:1 
[共同演者]
和泉 卓司:1、加藤 智幸:2

1:大河原町外1市2町保健医療組合みやぎ県南中核病院泌尿器科、2:山形大学医学部腎泌尿器外科学講座

 

【はじめに】前立腺に発生する悪性腫瘍のうち肉腫は約0.1%と極めて稀な疾患である。若年に発生し急激な経過をたどった前立腺線維肉腫の一例を経験したので報告する。
【症例】29歳男性。既往歴として9歳時、急性リンパ性白血病、13歳時に髄膜白血病で化学療法、放射線療法、骨髄移植を行われていた。27歳時に糖尿病と診断されるが治療を中断していた。
2011年10月頃から尿意が弱くなり、尿失禁があったが放置していた。2012年1月6日高血糖の精査目的に当院内科を受診した際に尿閉、腎後性腎不全を指摘され当科へ緊急入院となった。腹部超音波検査で骨盤内腫瘤を認めず、経過から神経因性膀胱を疑った。尿道カテーテル留置により腎機能改善し退院、外来で原因検索の方針となった。1月下旬より腰痛の悪化を自覚していた。2月9日神経因性膀胱の原因検索のために胸椎MRIを行ったところ、骨盤内に巨大腫瘤を指摘され、精査目的に再入院となった。PSA0.2ng/mLと基準範囲内、直腸診では弾性軟で表面平滑な腫瘤として触れ、針生検の結果、stromal sarcomaと診断された。画像検査で遠隔転移を認めず、限局性前立腺肉腫と診断した。手術療法や化学療法を検討したが腫瘍の急速な増大を認め、断念せざるを得なかった。2月中旬から下血を繰り返すようになり、尿管浸潤による腎後性腎不全のため3月2日に腎瘻造設、腸管浸潤によるイレウスのため3月13日に胃瘻造設した。腫瘍径は1か月で170×120mmから200×135mmに増大した。4月上旬より黄疸が出現、全身状態が悪化し4月25日に死亡した。剖検では前立腺を確認できず、その部分は腫瘍塊で置換されていた。腫瘍は膀胱、直腸、小腸間膜に浸潤していたが、リンパ節転移、臓器転移は確認されなかった。直接死因は胃瘻からの内容物の腹腔内への漏れと胆嚢からの胆汁の漏れによる胆汁性腹膜炎および化膿性腹膜炎と考えられた。病理組織学的検査で腫瘍は紡錘型細胞が密に増生しており、免疫染色でVimentin陽性、Desmin陰性、SMA陰性、CD34陰性、C-KIT陰性、ER陰性、S-100陰性でfibrosarcomaと診断された。
【考察】前立腺線維肉腫は稀な疾患であり、われわれが調べ得た限り、本邦での報告は6例に過ぎない。極めて急激な経過を取る場合があり、迅速に診断し加療する必要があると考えられた。

キーワード

臓器別:前立腺・男性生殖器

手法別:診断

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