演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

癌性腹膜炎に対して診断的腹腔鏡手術を施行した12症例の検討

演題番号 : P34-9

[筆頭演者]
松村 謙臣:1 
[共同演者]
北村 幸子:1、馬場 長:1、安彦 郁:1、堀江 昭史:1、山口 建:1、濱西 潤三:1、近藤 英治:1、吉岡 弓子:1、小西 郁生:1

1:京都大学大学院医学研究科婦人科学産科学

 

卵巣癌・腹膜癌は、手術完遂が困難な癌性腹膜炎まで至った状態で診断されることが多く、腹水細胞診にて悪性所見を確認後に、術前化学療法(NAC)を施行されることも多い。しかし、腹水細胞診では組織型確定に至らず、またNAC後手術時に目立たず切除しなかった横隔膜や肝表面の播種病変が治療後に再発する例も経験され、NAC前に腹腔内の観察と組織学的診断を行うことは重要である。そこで2013年より、患者同意下に卵巣癌・腹膜癌による癌性腹膜炎が疑われた12例において腹腔鏡にて腹腔内観察と腫瘍生検を行い、ステージング決定、組織学的診断を行ったのち、NACおよび腫瘍切除を施行する治療法を導入したので、その安全性について検討した。対照として、2012年以前に当科で試験開腹術を行った13症例とした。
腹腔鏡手術群の平均年齢は65.5歳、ⅢC期6例、Ⅳ期6例であった。第1トロッカーは臍部に12mmポートをclosed法で挿入し、5mmのフレキシブルスコープでダグラス窩~横隔膜下まで詳細に観察。左右いずれかの側腹部に5mmポートを2本挿入し、リデューサースリーブをはめた12mmポートから腫瘍生検を行った。腹腔内所見より初回完全切除が可能な症例はなかった。手術時間(中央値; 腹腔鏡80分 vs. 開腹120分, p=0.004)、出血量(0ml vs. 96ml, p=0,006)、手術翌日のCRP値(0.8 vs. 5.5, p=0.0002)とも、試験開腹術群に比して腹腔鏡手術群では有意に低かった。また術後排ガスまでの日数(2日 vs. 3日, p=0.008)も有意に腹腔鏡手術群で短かった。1例は生検部からの出血が持続し開腹手術に変更となった。12例の中で卵巣癌・腹膜癌であったのは10例であり、うち9例は漿液性腺癌、1例は類内膜腺癌であった。他の2例のうち1例は虫垂癌、1例は悪性黒色腫であった。卵巣癌・腹膜癌の10例でNACが奏功してinterval debulking surgeryを施行したのは5例であり、それら5例とも初回観察時に腫瘍を認めた骨盤内・横隔膜・肝表面の腹膜を含めて腫瘍を完全切除した。ポート刺入部への転移を認めた症例はなかった。
診断的腹腔鏡手術はその低侵襲性、得られる情報量から、有用かつ安全に施行可能と考えられる。

キーワード

臓器別:卵巣

手法別:内視鏡手術

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