演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

卵巣癌手術後繰り返す発熱で判明した尿管損傷の1例

演題番号 : P34-4

[筆頭演者]
藤本 悦子:1 
[共同演者]
大下 孝史:1、上田 明子:1、佐々木 美砂:1、中前 里香子:1、中西 慶喜:1

1:JA広島総合病院

 

【緒言】婦人科悪性腫瘍手術における臓器損傷はまれに発生する有害事象であるが、その多くは術中に判明するものである。今回卵巣癌手術後2ヶ月目に判明した尿管損傷の1例を報告する。【症例】49歳、未婚。約3ヶ月前より持続する下腹部緊満感と疼痛を主訴に近医受診し、卵巣癌疑いで当院へ紹介となった。CT検査では壁在結節を有する約12cm大の腫瘤を認め、悪性が疑われた。腫瘍マーカーはCA19-9 72.4 mIU/l, CA125 83.5 mIU/lであった。上部、下部消化管検査では異常所見は認めなかった。卵巣癌を疑い根治手術を予定していたところ、腫瘍の自然破綻による腹痛を来していたため緊急手術を施行した。開腹すると腫瘍は左卵巣由来であり、腫瘍の一部が破綻し、暗緑色の腫瘍内容液1100gが腹腔内に貯留していた。左付属器と骨盤臓側腹膜とは内膜症性の癒着を来していたため、尿管の走行に注意しながら左付属器摘出術を施行した。病理診断は類内膜腺癌(G1)であった。術後経過良好にて、後日staging手術として、子宮全摘術、右付属器摘出術、大網部分切除、骨盤リンパ節郭清術を施行した。子宮内膜症による癒着、術後の影響と思われる癒着があり、出血量が多めであったことから傍大動脈リンパ節は触診にとどめた。特に尿管の走行に注意しながら手術を進め、手術時間3時間14分、出血量1260gで問題なく終了した。最終病理検査より、卵巣癌IC(a)期(pT1cN0M0)と診断した。術後9日目の退院診察で超音波検査にてダグラス窩エコーフリースペースを認めたが、リンパ液の貯留と考えた。その後より発熱、帯下増量を認めたため骨盤死腔炎と判断し抗生剤の投与を行い軽快した。術後6週間より術後補助化学療法としてddTC療法を開始するも、術後3回目となる発熱を来たし、また腟断端から黄白色の腹水流出を認めるため、この時点で初めてCTを施行した。CTでは左重複腎盂尿管で上側腎盂からの尿管と尿瘤が交通しているため、上極尿管損傷による尿管瘤の診断であった。泌尿器科と相談の上、腎瘻留置による尿瘤、骨盤内炎症所見の改善を図り、後日腎盂尿管吻合を施行した。以後は経過良好であり、ddTC療法を再開、現在まで経過良好である。【結語】今回の尿瘤形成は術中に生じた者か術後生じたものなのかは不明である。しかしながら、術前CTにて重複腎盂であることは判明していたため、重複尿管の存在とより慎重な手術操作に注意すべきであったものと考える。

キーワード

臓器別:卵巣

手法別:診断

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