演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

巨大骨盤内腫瘍を契機に発見された卵巣悪性リンパ腫(未分化大細胞リンパ腫)の1例

演題番号 : P33-7

[筆頭演者]
吉野 育典:1 
[共同演者]
光山 聡:1、香西 康司:2、谷口 義実:1、小池 和範:1、伊田 勉:1、後藤 亮子:1、中村 浩敬:1、馬場 慎司:1、羅 ことい:1、渡辺 深雪:1、金沢 誠司:1、永岡 晋一:1、日高 志穂:1、小関 真理子:1

1:東京都立多摩総合医療センター産婦人科、2:東京都立多摩総合医療センター血液内科

 

卵巣腫瘍を契機とする悪性リンパ腫は約0.3%と稀であり、術前診断は困難であることが多い。なかでも、卵巣発生の未分化大細胞リンパ腫の報告は極めて少ない。今回我々は骨盤内腫瘍に対し開腹手術を施行し、卵巣癌との鑑別に苦慮した未分化大細胞リンパ腫の1例を経験したので報告する。
【症例】49歳 0経妊0経産。腹部膨満、体重減少、食欲不振を主訴に近医受診。骨盤内腫瘍を指摘され当院紹介受診となった。当科診察で多発子宮筋腫と10cm大の骨盤内腫瘍を認めた。体表リンパ節は触知しなかった。骨盤MRI検査で骨盤内腫瘤はT1強調画像で軽度高信号、拡散強調画像で高信号を呈し、卵巣癌、変性子宮筋腫、子宮肉腫などの可能性が考えられた。炎症反応上昇、貧血進行、APTT延長を認め、急速な状態悪化も懸念されたためCT・消化管内視鏡による精査を待たず緊急開腹手術を施行した。術中所見では右卵巣充実性腫瘤と腸間膜の著明な多発リンパ節腫大、腫瘍の腸管浸潤を認めた。右卵巣腫瘍の術中迅速病理組織診断でpoorly differentiated adenocarcinomaであったことから、卵巣癌(原発または転移)と考え腹式単純子宮全摘術、両側付属器摘出術、S状結腸切除術・小腸部分切除術を施行した。術後病理組織診断では通常のリンパ球より大型の異型細胞が、上皮様の結合性を示さずにびまん性に増殖しており、免疫染色の結果と合わせALK陽性未分化大細胞リンパ腫( Anaplastic large cell lymphoma:ALCL)と診断された。術後血液検査では可溶性IL2レセプター高値を認めた。術後の頸部~骨盤造影CTでは傍大動脈・腸間膜多発リンパ節腫大、肝転移、胸水貯留を認め、卵巣原発悪性リンパ腫と断定することはできなかった。Ann Arbor分類はⅣB期であった。血液内科に診療を依頼し、CHOP療法6コース施行した。化学療法終了後1年4ヶ月に渡り完全寛解を維持している。
【結語】極めて稀な、卵巣に発生した未分化大細胞リンパ腫の1例を経験した。悪性リンパ腫においては腫瘍の外科的摘出が予後を改善しない可能性があるが、本症例では卵巣癌との鑑別が困難であり、結果として手術侵襲を余儀なくされた。著明な多発リンパ節腫大を伴う骨盤内腫瘍では悪性リンパ腫の可能性を念頭に置く必要があり、疑わしい症例での手術侵襲には慎重な判断を要する。

キーワード

臓器別:卵巣

手法別:診断

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