演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

卵巣横紋筋肉腫により腟断端浸潤と敗血症を来した一例

演題番号 : P33-6

[筆頭演者]
内藤 未帆:1 
[共同演者]
谷口 義実:1、雨宮 貴子:1、金沢 誠司:1、日高 志穂:1、永岡 晋一:1、馬場 慎司:1、中村 浩敬:1、後藤 亮子:1、伊田 勉:1、小池 和範:1、光山 聡:1、清水 英治:2、荒木 潤子:3、霧生 孝弘:4

1:東京都立多摩総合医療センター産婦人科、2:東京都立多摩総合医療センター外科、3:東京都立多摩総合医療センター放射線科、4:東京都立多摩総合医療センター検査部

 

【背景】横紋筋肉腫は未分化間葉細胞から発生する軟部肉腫で最も頻度の高い悪性腫瘍であり、小児固形悪性腫瘍の20%を占める。また横紋筋組織のないいずれの器官からも発生し得るとされているが、成人の生殖器腫瘍としては稀である。今回、腟断端への浸潤と敗血症を契機に診断された卵巣横紋筋肉腫を経験したため、文献的考察を加えて報告する。【症例】症例は80歳女性、1経妊1経産、主訴は左下腹痛であった。既往歴として53歳時に子宮筋腫のため腹式単純子宮全摘出術を施行されていた。1か月前から淡血性帯下を自覚し、腹痛の増強と発熱を主訴に近医を受診、急性腹症に対する精査加療目的に当院へ搬送となった。意識は清明、体温37.3度、血圧99/62mmHg、心拍数83回/分であった。左下腹部に不整形、可動性不良な硬い腫瘤を触れ、同部位に限局する圧痛があった。腟断端左側から腟内へ突出する灰白色脆弱な壊死組織と悪臭を認めた。超音波断層法検査、腹部造影CT、骨盤部造影MRI施行し、左卵巣静脈と連続する腫瘍から卵巣腫瘍が疑われた。不均一な造影効果と空気の混在、膿を疑わせる液体貯留といった感染所見と、傍大動脈・縦隔リンパ節に4cmまでの転移と考えられる腫大を認めた。抗菌薬の投与を開始したが、SIRSの遷延、血小板減少、DICスコアの増悪に対し、感染コントロール目的の手術を行った。腹腔内に膿性腹水の貯留、卵巣動静脈と連続する10cm大の腫瘤を認めた。腫瘤は脆弱で、悪臭の強い暗赤色膿性の内容液を含んでいた。癒着と浸潤のために骨盤壁と腟断端に腫瘍が残存したが、可及的に腫瘤を摘出した。術前・術中の細菌培養検査からは複数の腟常在菌と嫌気性菌が検出され、逆行性感染と考えられた。術後は抗DIC治療と敗血症治療を継続し、術後41日目に自宅退院となった。病理組織診断では正常卵巣組織が認められず、腫瘍成分で占められていたが、解剖学的所見と合わせ卵巣横紋筋肉腫と診断した。術後化学療法としてIFM、ADM、CDDP併用療法を開始した。1コース目終了後1か月時点で行った頚部~骨盤部造影CTでは、腟断端の残存腫瘤とリンパ節腫大のいずれも縮小傾向にあった。【考察】腟断端に浸潤し腫瘍感染から敗血症、DICに至った横紋筋肉腫を経験した。良性疾患に対する子宮摘出後の腟断端にも悪性腫瘍が浸潤する可能性がある。また、卵巣横紋筋肉腫に対しても可及的腫瘍切除と化学療法が有効である可能性が考えられる。

キーワード

臓器別:卵巣

手法別:診断

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