演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

Dual Her2 blockade が有効であった乳癌肝転移の一例

演題番号 : P28-8

[筆頭演者]
矢内 洋次:1 
[共同演者]
杉江 知治:1、遠藤 香代子:1、松本 真由美:1、權 雅憲:1

1:関西医科大学外科

 

【はじめに】化学療法は、高度肝機能障害を認める患者に対して、休薬や減量が必要となる。今回我々は、高度肝機能障害を伴うHER2陽性乳癌に対し、抗HER2ヒト化モノクローナル抗体(pertuzumabとtrastuzumab)によるdual blockadeが有効であった1例を報告する。【症例】62歳女性、右乳房全体にHER2陽性乳癌(invasive ductal carcinoma:ER5%、PgR陰性、Ki67:65%、HER2:3+)を認め、右腋窩リンパ節の転移、腰椎(L1)転移、多発肝転移による肝内胆管閉塞による黄疸を伴う高度肝機能障害(AST182U/L、ALT51U/L、T-Bil8.9㎎/dL)を認めた。減黄目的に、肝内胆管(前後区域分岐部)から上部胆管にかけて狭窄を認める部位に、ステントを留置し内瘻化を行ったが、肝機能・黄疸ともに改善を認めなかった。生命を脅かす内臓転移を認めるため、化学療法の適応と考えられたが、タキサン系などの抗がん剤の投与は困難であった。そのため、抗HER2ヒト化モノクローナル抗体であるpertuzumabとtrastuzumabによるdual blocadeを開始した。それにより、肝転移巣の縮小による黄疸の消失・肝機能障害の改善を認め、dual blocade2サイクル終了後(投与44日後)には、AST、ALT、T-Bilは、それぞれ30U/L、12U/L、1.6㎎/dLと改善した。そのため、タキサン系薬剤であるpaclitaxel(80mg/m2)を加えた化学療法を開始した。現在、pertuzumabとtrastuzumab16クール、weekly paclitaxel12クールを投与後、PRを維持している。副作用はGrade1の末梢神経障害のみで、良好なQOLを維持している。
【考察】HER2陽性の手術不能又は再発乳癌に対して、pertuzumabとtrastuzumab とdocetaxelの3剤併用が推奨されている。しかし、本症例の如く、 HER2陽性乳癌、多発肝転移による肝障害のため化学療法が困難な症例に対しては、まず抗HER2ヒト化モノクローナル抗体によるdual blocadeから開始し、肝機能が改善してから、化学療法を追加することも治療の選択肢となりえると考えられた。

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:化学療法

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