演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

化学療法非併用Trastuzumab投与を長期継続しているHER2陽性再発乳癌症例の検討

演題番号 : P28-5

[筆頭演者]
伊藤 勅子:1 
[共同演者]
横澤 佳那:1、小野 真由:1、大場 崇旦:1、家里 明日美:1、福島 優子:1、金井 敏晴:1、前野 一真:1、伊藤 研一:1

1:信州大学医学部外科学第二

 

【諸言】転移再発を生じた乳癌の治療では、再発した癌による症状を軽減しできる限り生活の質(QOL)を落とさずに生命予後の延長を図ることが目標となる。転移再発後の内分泌療法や化学療法はPFSやOSを延長しているが、加えてHER2陽性乳癌に対してはTrastuzumabやPertuzumabを用いることが推奨されている。今回、HER2陽性転移再発乳癌に対してTrastuzumab単剤またはTrastuzumabと内分泌療法の併用で長期間病勢のコントロールが得られている症例を解析した。
【対象】当科で治療している転移再発乳癌症例中、Trastuzumab単剤またはTrastuzumabと内分泌療法の併用療法を5年以上継続している9例。
【結果】再発時平均年齢:58.6±8.4歳。Stage IV1例。ER(+)/PgR(+)/HER2(3+)3例、ER(-)/PgR(-)/HER2(3+)6例。初回治療から再発までの期間は平均60.3±48.2ヵ月(37.5-151.3)(StageIVは除く)、再発部位は肺3例、肝2例、骨2例、鎖骨上・腋窩リンパ節4例、脳1例、胸壁1例(重複あり)。単臓器再発6例、複数臓器再発3例。
Trastuzumabと化学療法剤(PTX, Cape)の併用療法からTrastuzumab単剤治療に移行した症例が4例、Trastuzumabと内分泌療法の併用を継続している症例が4例。Trastuzumabを用いた治療中に、再発巣の切除が行われたものが4例(脳1, 肺1, 肝1, 胸壁1)。再発巣の照射施行3例。化学療法剤非併用でのTrastuzumab継続期間は平均6.4±1.1年(5-7.6)。CR継続中5例、PR継続中3例、PRの後PDとなりVNR併用となったのが1例。心機能低下を認めた症例はない。
【考察】乳癌診療ガイドライン2013年版ではHER2陽性転移再発乳癌に対する治療として、Trastuzumab単剤療法はQOLを維持しながら病勢進行を抑える可能性があり推奨グレードC1とされている。これまでに多数例での報告はないが、化学療法との併用でCRになった症例に対する維持(maintenance)療法としてTrastuzumab単剤の継続が有用とする報告もある。当科の9症例は、再発までの期間が3年以上の症例が多く、複数臓器に転移を有する症例は少なく、局所制御のため治療が併用されていた症例が多かった。Trastuzumabと化学療法剤の併用で長期CRが得られた症例、単臓器再発で手術や照射などの局所制御治療が併用できる症例、進行した内蔵転移がなく進行が急速でない転移再発症例では、化学療法非併用Trastuzumab療法は選択肢となりうると考える。今後症例を蓄積し、維持療法の必要性を検証する必要があると考える。

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:分子標的治療

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