演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

食道癌化学療法中に発症した門脈血ガス血症を伴う小腸血流障害の一例

演題番号 : P15-3

[筆頭演者]
後藤 亜也奈:1 
[共同演者]
田中 善宏:1、高野 仁:1、棚橋 利行:1、松井 聡:1、佐々木 義:1、今井 寿:1、奥村 直樹:1、松橋 延壽:1、山口 和也:1、吉田 和弘:1

1:岐阜大学医学部腫瘍外科

 

(背景)進行食道癌への化学療法は目覚ましい進歩を遂げ術前・術後療法や、切除不能進行再発症例への恩恵は大きい。一方で進行例では元来の基礎疾患の多様さに加え、経口摂取量が通過障害や化学療法の有害事象などで減少傾向にある中での強力なレジメンの使用は重篤な有害事象を招くリスクの中行わなければならない。(目的)有害事象の中で下痢や食欲不振があると食道癌患者は容易に脱水に陥りアシデミアや腎不全、電解質異常を起こす。今回進行食道癌への術前療法中に急性腹症を起こしたが迅速な判断・処置で事なきを得た一例を報告し今後の診療へ学ぶべきことを探る。(症例)67歳男性。既往歴:僧帽弁閉鎖不全症にて手術(ワーファリン内服中)と高血圧。T2N2M0:StageIIIA。胸部中部進行食道癌症例で術前化学療法(DGS regimen)を1コース施行開始した。Day13で急激な腹痛を訴え、腹膜刺激症状を軽度認めた。腹部超音波検査にて肝内門脈気腫を確認し、単純CTで小腸腸間膜内の血管内とSMVから門脈内のAirを確認した。腹水は少量であった。小腸壊死の診断で緊急開腹(発症から3時間で開腹)。開腹所見:腹水はなし。トライツ靱帯から500cmの小腸が75cmにわたり暗赤色に変色し全層壊死を疑い、切除し回腸どおしを再吻合した。病理所見は全層壊死は免れているが腸管壁の気腫、粘膜下層のうっ血と全層性の出血を認めかろうじて壁構造は保たれていた。明らかな血栓・塞栓は認めなかった。6日目から食事を開始し術後合併症は認めなかった。周術期血液浄化なども不要であった。約2カ月後右開胸開腹の3領域リンパ節郭清を伴う食道亜全摘術を施行し、経過良好であった。病理組織学的効果判定はGrade2で奏効していた。(考察)小腸壁の気腫・うっ血・出血による血流障害の原因についてPT-INRは術前に2前後でワーファリンでコントロールさせており、化学療法後の補液も連日施行していた中での発症であった。病理所見からも血栓形成はなく有害事象としての小腸壊死であった可能性がある。迅速に対応することで門脈血ガス血症もあったが術後は安定していた。(結語)化学療法中の十分な経口摂取・補液、血栓予防中での小腸血流障害を経験した。迅速な対応が必要になるケースも存在するため症例の集積が必要である。

キーワード

臓器別:食道

手法別:集学的治療

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