演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

術前化学放射線治療後に肺塞栓症を発症した食道癌の2例

演題番号 : P15-2

[筆頭演者]
川越 浩輔:1 
[共同演者]
奥村 浩:1、恵 浩一:1、内門 泰斗:1、喜多 芳昭:1、尾本 至:1、上之園 芳一:1、有上 貴明:1、盛 真一郎:1、馬場 研二:1、石神 純也:1、大脇 哲洋:2、夏越 祥次:1

1:鹿児島大学大学院医歯学総合研究科消化器・乳腺甲状腺外科学、2:鹿児島大学離島へき地医療人育成センター

 

【はじめに】悪性腫瘍は血栓症を伴うことが多くその発症は化学療法中に増加することが多いと報告されている.近年,進行食道癌に対する術前化学放射線療法(以下CRT)の有用性が認識されてきており,今後,CRT後の下肢静脈血栓症や肺塞栓症に遭遇する機会の増加が想定される.今回我々は,CRT後に肺塞栓症を合併したが,食道癌に対する根治的手術を施行しえた2例を経験したので報告する.
【症例1】64歳男性.嚥下困難を主訴に前医受診,食道癌の診断で当科紹介受診した.既往に高血圧があったが血栓症は認めなかった.精査にて胸部中部食道癌,長径43mm,3型,cT3(Ad)N3M0 cStageⅢと診断され術前CRTの方針となった.CRTはLow dose FP療法+RT 40Gyが施行され,奏功度SDであった.評価造影CTで右肺動脈内に血栓を認めたため,ワーファリン内服開始した.Ddimer 0.4と上昇なく下肢エコーではDVTは認めなかった.ワーファリン内服開始2ヶ月後,手術の方針となりヘパリン化し,右開胸開腹食道亜全摘,胸壁前経路胃管再建術を施行した.術後経過は良好であった.【症例2】67歳男性.嚥下困難を主訴に前医受診,食道癌疑いで当科紹介受診した.既往に脳梗塞,糖尿病を認め,血栓症は認めなかった.精査にて胸部下部食道癌,長径80mm,3+0-Ⅱc型,cT2(MP)N2M0 cStageⅢと診断され術前CRTの方針となった.CRTはDCF療法+RT 40Gy施行し,奏効度CRであった.評価造影CTで右肺動脈,左腎静脈に血栓を認めヘパリン,ワーファリン内服開始した.Ddimer 16.3と上昇,下肢エコーで左浅大腿静脈に血栓を認め,肺塞栓の原因と考えられた.抗凝固療法にていずれの血栓も縮小した.術前ヘパリン化,右開胸開腹食道亜全摘,胸壁前経路胃管再建術を施行した. 術後は縫合不全を認めたが良好に改善された.
【考察】食道癌の術前治療による血栓症発症の増加が報告されているが、血栓症の既往を認めない症例では、術前の血栓症を早期に発見治療することで、周術期合併症の増加はなかったと報告されている.術前治療が原因の血栓症は、無症状であることが多いため、その発見にはCRT終了後に造影CTを行い、血栓の有無を確認することが大切である.今回の2症例も血栓症の既往を認めず、CRT後のCTで偶然発見され、術後血栓症の再燃を認めずに経過した.【結語】術前CRT後に肺塞栓症を合併したが,術後血栓症の発症を認めず根治的手術を施行しえた食道癌の2例を経験したので報告した.

キーワード

臓器別:食道

手法別:化学療法

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