演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

間葉系幹細胞の骨軟骨分化能における変異型IDH1の影響

演題番号 : P146-1

[筆頭演者]
岡本 健:1 
[共同演者]
金 永輝:2、玉置 さくら:2、松田 秀一:1、戸口田 淳也:2

1:京都大学医学部附属病院整形外科、2:京都大学再生医科学研究所

 

【目的】IDH1/2遺伝子の突然変異は軟骨肉腫などの軟骨形成性骨腫瘍の50%以上の検出されるが、骨肉腫を含めた他の間葉系腫瘍では極めて稀である。この遺伝子変異の腫瘍特異性を解明するために、われわれはヒト間葉系幹細胞の分化能における変異型IDH1の影響を調べた。
【方法】 レンチウイルスを用いてヒト骨髄由来間葉系幹細胞に変異型IDH1を発現させ、骨・軟骨の関連遺伝子の発現解析と骨・軟骨への分化誘導を行った。更に、発現変動があった遺伝子のプロモーターのヒストン修飾を調べた。
【結果】 変異型IDH1を発現させることによって、SOX9COL2A1遺伝子の発現が誘導され、軟骨細胞に分化が促進された。そこで、SOX9COL2A1のプロモーターのヒストン修飾を調べた結果、活性化markerであるH3K4me3の上昇が見られた。しかし、三次元軟骨分化誘導を行った結果、軟骨ペレットの形成は抑制されていた。一方、石灰化に重要な役割を果たすALPL遺伝子の発現は抑制されており、実際に骨分化誘導を行った結果、石灰化は抑制された。変異型IDH1の骨分化における抑制効果を骨肉腫細胞株で確認したところ、ALPLの発現抑制にはプロモータにおける抑制markerであるH3K9me3の上昇が関連していた。
【結論】本研究により変異型IDH1は間葉系幹細胞の軟骨細胞への分化を促進するが軟骨細胞への最終分化は抑制されており、一方、骨への分化は抑制される結果が得られた。骨分化特性は骨肉腫の診断に欠かせない特徴であることから、骨肉腫には変異型IDH1が極めて稀であることと合致する。また、変異型IDH1は遺伝子特異的ヒストン修飾を起こして、間葉系幹細胞の軟骨分化と骨分化を調整不全にすることで、軟骨形成腫瘍の発生に関与することが示唆された。

キーワード

臓器別:骨軟部

手法別:ゲノム・遺伝子

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