演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

膵癌組織におけるCRH発現と生存予後の関連

演題番号 : P135-4

[筆頭演者]
佐藤 菜保子:1 
[共同演者]
片寄 友:2、川口 桂:3、大塚 英郎:3、森川 孝則:3、中川 圭:2,3、元井 冬彦:3、内藤 剛:3、高木 清司:4、鈴木 貴:4、福土 審:5、佐藤 冨美子:1、海野 倫明:2,6

1:東北大学大学院医学系研究科がん看護学分野、2:東北大学大学院医学系研究科統合がん治療外科学分野、3:東北大学病院肝胆膵外科、4:東北大学大学院医学系研究科病理検査学分野、5:東北大学大学院医学系研究科行動医学分野、6:東北大学大学院医学系研究科消化器外科学分野

 

【目的】
ストレス制御のkey moleculeであるcorticotropin-releasing hormone (CRH) は中枢神経以外にも、このレセプター群であるreceptor 1 (CRHR1)、receptor 2 (CRHR2)とともに全身の主要臓器に発現する。しかしCRHの癌に対する作用は十分に明らかにされていない。本研究の目的は、膵癌組織におけるCRHおよびそのレセプター群の発現と予後との関連を明らかにすることである。
【方法】
膵癌にて切除した96例 (男性62名、女性34名、年齢64.3±10.1歳) の切除標本を、免疫染色によりCRH、CRHR1、CRHR2の発現を病理学的に評価した。癌組織におけるCRH、CRHR1、CRHR2の発現割合にて2群に分類し全生存期間を比較検討した。さらに、Adjuvant療法の状況をふまえた全生存期間を統計学的に分析した。
【結果】
Kaplan Meier法による生存分析の結果、CRHR1陰性群と比較し陽性群の予後が不良であった。 (χ2=4.31, p=0.038)。Adjuvant療法は96例中84例に行われ、CRHR1陰性群と比較し陽性群の予後が不良であった。 (χ2=5.17, p=0.022)。adjuvantのレジメンでは塩酸ゲムシタビンが62例と最も多く、塩酸ゲムシタビン(GEM)使用群で解析してもCRHR1陰性群と比較し陽性群の予後が不良で (χ2=6.10, p=0.046)、GEM以外の薬剤使用群ではCRH陰性群と比較し陽性群の予後が不良であった (χ2=3.96, p=0.047)。Adjuvant療法を行わなかった12例の検討ではCRH、CRHR1、CRHR2のいずれも術後生存に有意な差は認めなかった。
【考察】
膵癌において、CRHR1の発現の程度により有意に予後に差を認める結果であった。CRHは主にCRHR1を介して細胞内シグナルを変化させることが知られている。子宮内膜癌や乳癌においては、CRHはCRHR1を介し、癌細胞増殖に作用する可能性がすでに報告されている。本研究における予後の差は膵癌においても同様にCRHR1 を介したCRHの癌増殖作用の可能性が示唆される。

キーワード

臓器別:膵臓

手法別:診断

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