演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

肝門部領域胆管癌症例の術前肝機能評価における非侵襲的線維化マーカーの意義

演題番号 : P133-4

[筆頭演者]
今井 寿:1 
[共同演者]
長田 真二:1、松井 聡:1、佐々木 義之:1、田中 善宏:1、奥村 直樹:1、松橋 延壽:1、高橋 孝夫:1、山口 和也:1、二村 学:1、吉田 和弘:1

1:岐阜大学大学院医学系研究科腫瘍外科

 

【緒言】肝門部領域胆管癌症例では、葉切除以上の肝切除術が必要となり、術前の肝機能評価が非常に重要である。術前胆道ドレナージは残存予定側のみの片側肝葉ドレナージが推奨されているが、こういった症例では一般の肝切除術で重要視されるインドシアニングリーン(ICG)試験の結果の信頼性は低下する。そこで、我々は慢性肝炎や肝硬変症例の非侵襲的線維化マーカーであるaspartate aminotransferase-platelet ratio index(APRI)とFibrosis-4(FIB-4)に注目し、術前肝機能評価の指標としての意義について検討した。
【方法】2006年11月から2015年3月までに当科で肝切除術を施行した肝門部領域胆管癌症例を対象とした。術前肝機能はICG15分停滞率(ICG-R15)、消失率(KICG)、APRI、FIB-4値で評価し、予定残肝容積比、予定残肝ICG消失率(ICG Krem)についても調査した。術後肝機能は術後血中アルブミン(ALB)、コリンエステラーゼ(ChE)、血小板数(PLT)の最低値、総ビリルビン値(TB)、PT-INRの最高値で評価し、各項目の相関をPearsonの積率相関係数で分析した。また、術前値との差についても同様に分析した。
【結果】症例は15症例で、年齢の中央値は72歳(54-79歳)、男性11例、女性4例であった。術前減黄症例が12例(80.0%)、術前門脈塞栓施行例が7例(46.7%)、予定残肝容積比の中央値は0.44(0.33-0.72)であった。術式は右肝切除あるいは右三区域切除が9例、左肝切除あるいは左三区域切除が6例であり、膵頭十二指腸切除術を併施した症例が5例であった。術後ALBと相関を認めた項目はなく、術後ChEは予定残肝容積比(r=0.510, p=0.052)、ICG Krem(r=0.512, p=0.050)との間に有意ではないが正の相関を認めた。術後PT-INRはICG-R15との間に有意な正の相関を認め(r=0.656, p=0.007)、APRIおよびFIB-4は術後のPLT減少との間に有意な負の相関を認めた(r=-0.598, p=0.018およびr=-0.683, p=0.005)。
【考察】肝門部領域胆管癌の肝切除術前評価において、APRIやFIB-4のような線維化マーカーは術後のPLT減少との関連はあったが肝機能評価における有用性は低いと考えられた。今回の結果では、術前ICG-R15が術後凝固能と関連していたが、術前門脈塞栓の有無、術前栄養状態など術後の肝機能に影響する因子は複雑であるため、予定残肝容量なども加味した新たな指標を開発する必要があると考えられた。

キーワード

臓器別:胆嚢・胆道

手法別:診断

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