演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

肝細胞がんに対する治癒切除後の漿膜浸潤有無による予後への影響

演題番号 : P131-9

[筆頭演者]
園原 史訓:1 
[共同演者]
野本 周嗣:1,2、猪川 祥邦:1、岩田 直樹:1、神田 光郎:1、林 真路:1、田中 千恵:1、小林 大介:1、山田 豪:1、中山 吾郎:1、藤井 努:1、杉本 博行:1、小池 聖彦:1、藤原 道隆:1、小寺 泰弘:1

1:名古屋大学医学部附属病院第2外科、2:愛知学院大学歯学部外科

 

【目的】肝細胞癌(HCC)に対する肝切除後の予後リスク因子は腫瘍因子,背景肝因子に分けられる.腫瘍因子である血管浸潤陽性以外のリスク因子については諸家の報告があるが定まった見解はいまだない.今回我々は初回手術治癒切除後の臨床病理学的リスク因子の抽出を試みた.
【方法と対象】当研究室で行われた1998年から2011年のHCCに対する初回手術治癒切除214例を対象とした.再発有無と各リスク因子の関係をカイ二乗検定で検討し,無再発生存期間(RFS),全生存期間(OS)をCOX回帰比例ハザード分析による単変量,多変量解析で検討した.抽出因子の有無によるRFS,OSの比較をカプランマイヤー法で行い,log-rank検定で検討した.
【結果】男性171人(79.9%),女性43人(20.1%),年齢中央値は65歳(範囲,33-80歳)であった.原発性肝癌取扱い規約によるステージ分類ではⅠ:19人(8.9%),Ⅱ:115人(53.7%),Ⅲ:55人(25.7%),Ⅳ(Ⅳa):24人(11.2%)であった.観察期間中央値は49.5か月(0.3-193.8か月),観察終了時死亡が104人(48.6%),術後生存期間中央値が34.6か月(0.3-154.9か月)であった.再発は140人(65.4%)で認め、再発までの中央値は17.4か月(0.6-137.9か月)であった.HCCの再発と肝炎ウイルスのタイプ(HCV or others, P=0.0115),腫瘍径(≥2 or <2 cm, P=0.0155),血管浸潤有無(P=0.0131),ステージ分類(P=0.0182)との間にそれぞれ有意な相関関係を認めた.多変量解析では漿膜浸潤(hazard ratio [HR], 2.75; P=0.0005)と血管浸潤(HR, 1.71; P=0.0331)が無再発生存期間に対する独立した予後因子として抽出された. 漿膜浸潤有無と腫瘍径2cm以上(P=0.0193),血管浸潤(P=0.0131),およびステージ分類(P=0.0182)の間にはそれぞれ有意な相関を認めた。カプランマイヤー法により漿膜浸潤陽性例では無再発生存期間(P<0.0001) と全生存期間(P=0.0016)とにおいて有意に予後不良であった.48例の漿膜浸潤陽性例のうち,38例(79.2%)が再発し、再発臓器は多い順に肝31(68.9%),骨5(11.1%),肺5(11.1%),腹膜1(2.2%),副腎1(2.2%),リンパ節転移1(2.2%),胸膜1(2.2%)となっていた(多臓器併存を含む).
【考察】一つの仮説として,肝臓漿膜直下にはリンパ管が発達しているため,漿膜浸潤陽性は血管浸潤陽性と同様に肝内転移を発症しやすいと考えられた.
【結論】漿膜浸潤陽性は既報で有力とされる静脈浸潤陽性と同等に強い予後因子であることが判明した.

キーワード

臓器別:肝臓

手法別:診断

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