演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

ミダゾラムを用いた症状緩和のための持続鎮静~当院における症例の検討と今後の課題~

演題番号 : P107-6

[筆頭演者]
鈴木 梢:1 
[共同演者]
宮澤 真帆:2、前田 隆司:1、鄭 陽:1、田中 桂子:1

1:がん・感染症センター都立駒込病院緩和ケア科、2:がん・感染症センター都立駒込病院薬剤科

 

【背景】日本緩和医療学会では苦痛緩和のための鎮静に関するガイドライン(GL)を作成している。当院では各病棟にこのGLを配布しているが、一般病棟においてGLは充分活用されてはいない。【目的】当院におけるミダゾラムを用いた症状緩和のための持続鎮静症例を抽出し、傾向と今後の改善点について考察する。【方法】苦痛緩和のための持続鎮静目的でミダゾラムを使用した症例を診療録から後方視的に調査した。調査期間は2014年4月1日~2015年3月31日までの一年間とした。【結果】ミダゾラムによる持続鎮静施行数は緩和ケア病棟(PCU)が5例、一般病棟が23例だった。一般病棟の23例中15例で緩和ケアチーム(PCT)が関与していた。鎮静理由はPCUで疼痛、呼吸困難、せん妄が同じ割合だったのに比べ、一般病棟では呼吸困難が69.6%と大部分を占めた。鎮静期間中央値はPCU3日、PCT介入4日、PCT非介入1.5日であった。ミダゾラム開始量中央値はPCU 24㎎/日、PCT介入・非介入共に20㎎/日であった。死亡前24時間の輸液量はPCUの全例で200ml以下、PCT介入の全例で500ml以下であった一方、PCT非介入で37.5%が1001ml以上であった。鎮静の同意を本人が行った割合はPCU40%、PCT介入40%、PCT非介入12.5%であった。医師と看護師を含めた多職種での検討の記録はPCUで全例記載があったのに対し、PCT非介入では全て未記載であった。【考察】当院では昨年度年間819人が死亡し、その内202人がPCUで死亡した。今回他剤での鎮静や間欠的鎮静については未検討だが、ミダゾラムでの持続鎮静は全死亡数の3.4%と頻度が低く、鎮静経験は全医療者で少ないと言える。また、本調査から、PCT非介入で鎮静期間が短く、家族の同意のみで鎮静が開始となる傾向があり、適切な輸液減量が行われていない症例もみられた。さらに、GLでは鎮静に際し多職種での検討を推奨しているが、PCT非介入の診療録に多職種での検討内容の記載はなく、鎮静の判断を医師単独で行っている可能性も考えられた。鎮静にあたっては医療安全のためにも多職種での倫理的妥当性の評価、医学的適応の検討が必須となる。そのため、当院ではGLを簡略化したマニュアルを電子カルテに搭載し、医師と看護師が用いる診療記録のテンプレートの利用を開始することとした。これらのツールにより全病棟で、GLに沿った適切な鎮静が行われるようになると考えられる。

キーワード

臓器別:その他

手法別:緩和医療

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