演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

経口摂取不能の食道癌患者に対するフェンタニルクエン酸塩口腔粘膜吸収製剤の使用経験

演題番号 : P107-3

[筆頭演者]
松田 良太:1 
[共同演者]
中原 修:2、藤村 美憲:2、大島 茂樹:2、馬場 秀夫:3

1:球磨郡公立多良木病院看護部、2:球磨郡公立多良木病院外科、3:熊本大学大学院生命科学研究部消化器外科学

 

はじめに
癌性疼痛の緩和療法では、強オピオイド鎮痛薬を定時投与していても、一時的に増強する痛み(突出痛)に対しては速放性製剤のレスキュー・ドーズが必要となる。今回、経口摂取不能な食道癌患者の突出痛に対し、フェンタニルクエン酸塩口腔粘膜吸収製剤を使用し、良好な疼痛コントロールが得られた症例を経験したので報告する。
症 例:60歳、男性。
主 訴:胸部痛。
家族歴:特記すべき事項なし。
既往歴:服毒による自殺企図。
現病歴:20歳代に服毒による自殺企図あり、一命を取り留めるも腐食性食道炎を来した。徐々に瘢痕狭窄が高度となり固形物の摂取が不能となった。58歳時に経口摂取のみを目的に食道バイパス術を受けるも、術後縫合不全にて頸部食道-拳上胃管の吻合部狭窄を来し完全に経口摂取は不能となった。その後、残存食道に悪性腫瘍を認め、化学放射線治療を行うもPDとなり59歳時に緩和治療目的当院へ入院となった。
治療経過:当科転院後、疼痛に関してはベース薬としてデュロテップパッチ®を使用し、突出痛に対してはオキノーム®にて対応した。ベース薬の増量と各種鎮痛補助薬の併用にて安静時痛はVAS=0まで改善を得られた。しかし、突出痛出現時はVAS=3~4となり、経腸栄養ルートからオキノーム®を注入して対応したが、VAS=1~2までしか改善は得られなかった。これに対し、レスキューとしてフェンタニルクエン酸塩口腔粘膜吸収製剤を50㎍/回で開始し100㎍/回まで増量したところVAS=0~1となった。
【考察】今回、口腔粘膜吸収剤に変更することによるメリットとして以下の3点が考え有られた。①薬剤吸収の改善による疼痛コントロール②投与方法の簡便性。患者本人および看護サイドともに散剤を溶解する煩雑さから解放され、より重要な緩和ケアへの労力シフトが可能になった。③経済性への効果。レスキュータイトレーションにより、オキノーム®からフェンタニルクエン酸塩口腔粘膜吸収製剤にシフトすることで1日薬価1600~2100円から700~1400円に削減可能となった。
【結語】新しい剤型であるフェンタニルクエン酸塩口腔粘膜吸収製剤は、経口摂取不能な患者の痛みに対するコントロールに有効であると思われた。

キーワード

臓器別:食道

手法別:緩和医療

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