演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

肺がんに対する動体追尾定位放射線治療

演題番号 : OS4-6

[筆頭演者]
松尾 幸憲:1 

1:京都大学大学院医学研究科放射線腫瘍学画像応用治療学

 

放射線治療分野における技術革新はめざましく、動きのない腫瘍であればミリメートル単位の高い精度で放射線を照射することが可能となっている。次に克服すべき課題として挙げられているのが、体内での動きへの対応である。肺癌領域においては呼吸性移動が大きく(時に3cm以上)、せっかくのミリ単位の精度が活かせずにいた。従来当科では腹部を圧迫して小さな一定の呼吸を促す方法を取ってきたが、呼吸抑制の効果は必ずしも十分とは言えず、患者が苦痛を伴うことが問題であった。このため、腫瘍の位置を常に追いかけながら照射を行う新技術(=動体追尾放射線治療)の開発が望まれていた。
VERO4DRTは、京大病院放射線治療科が2000年より三菱重工業株式会社および先端医療センターと共同して開発を行った全く新しいタイプの放射線治療装置である。首振り可能な小型の加速管を搭載することにより、動体追尾放射線治療を実現可能とした。
2011年9月より早期肺癌(病変が5cm以下かつ転移がない)に対する動体追尾放射線治療の臨床試験を行った。22例が登録され、うち16例に対し動体追尾放射線治療が実施可能であった。この16例においては、事前シミュレーションで従来の照射法と比較し正常肺の線量が約20%低減可能と判断された。実際の治療においては、1回あたりの治療時間が平均37分と従来の定位放射線治療とほぼ同じ時間で実施できた。また、治療中の実施記録から病変位置をミリ単位の高い精度で照射できていることが確認された。
動体追尾放射線治療は従来の放射線治療と同等の高い治療効果を維持しつつ、有害事象を低いレベルに抑えることができるものと期待される。

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