演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

臨床病期IIIA, IIIB期非小細胞肺癌に対する根治的化学放射線療法後のSalvage外科切除

演題番号 : OS4-5

[筆頭演者]
鈴木 健司:1 
[共同演者]
松永 健志:1、王 志明:1、高持 一矢:1

1:順天堂大学大学院医学研究科呼吸器外科学講座

 

局所進行肺癌において局所制御が予後に与えるインパクトに関しては議論が多い。如何に局所制御がなされても遠隔再発がその大多数を占めるからである。本邦では歴史的に局所進行肺癌の代表であるcN2症例に積極的に手術療法を適応してきた。が、その結果が満足できるものでなかった。JCOGではこれまでに、JCOG8810でcN2に対する術前化学療法の第二相試験、JCOG9209で術前化学療法の第三相試験、そしてJCOG9805では術前化学放射線療法の第二相試験が行われてきた。JCOG9209はnegative studyに終わり、JCOG9805は治療関連死の頻発で中止となった。一方欧米では早くから術前に縦隔鏡で診断されたcN2はすでに手術の意義は乏しく、化学療法と放射線治療の適応とされてきた。本邦では手術ありきの立場から周術期の非外科治療を検討するスタンスであったのに対して欧米では非外科治療が標準でこれに手術を加える意義があるかどうかと言うスタンスであった。Intergroup 0139として知られる人類史上初の、そしておそらく最後の化学放射線療法のBimodalとそれに手術を加えたTrimodal treatmentとの比較試験ではまさにこの点が検証され、手術を加えることの意義は示されなかった。その後肺葉切除が可能なcN2に限れば手術を加える意義ありとの報告があったが、そもそも化学放射線療法群では手術をしていないのだから少々無理な論理展開である。以上より、cN2に関しては手術を加える意義はない。さて、非外科治療でcN2がどの程度治癒に至るかと言うことに関して、これも満足できるものではない。最新のデータでは切除不能N2肺癌の5年生存割合はほぼ20%と報告されているが、これは十分でなく、約半数に局所再発を認めるのであるから改善の余地がある。RTOG0617は非外科治療としての放射線74Gyと60Gyを比較したものであるが、74Gyに癌死がより多く認められた。つまり局所制御を高める意図での放射線量の増加は現時点では得策ではない。局所制御をさらに追求するならば、根治的化学放射線療法後の手術、つまりSalvage surgeryの適応と言うことになる。順天堂大学で2008年から2013年までに施行した肺癌切除例は1529例であるが、うち臨床病期IIIA or B期に対して適応したsalvage surgeryは23例(1.5%)であった。術前の放射線量は48-66Gy(中央値60Gy)。手術死亡、在院死なく、3年生存割合は65.8%であった。今後salvage surgeryの再検討を要すると考える。

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