演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

食道癌に対する同時化学放射線療法の将来展望

演題番号 : OS2-6

[筆頭演者]
伊藤 芳紀:1 

1:国立がん研究センター中央病院放射線治療科

 

食道癌に対する根治的化学放射線療法は、局所進行切除不能例に対しては標準治療として、切除可能例に対しては食道温存を図ることができる治療選択肢である。根治性が高まる一方で、心肺毒性などの遅発性有害事象の問題や遺残・再発例に対する救済治療(救済内視鏡治療、救済手術)の安全性に関する問題も認識されるようになっている。有効性向上のための取り組みとして、放射線治療の予定休止期間廃止、3次元治療計画、新規抗癌剤併用、新しい照射技術や治療機器での照射が挙げられ、遅発性有害事象軽減のための取り組みとして、心毒性軽減のための多門照射導入、予防照射範囲の縮小による正常組織への線量低減などが挙げられる。また、救済治療を組み入れた治療戦略では、総線量を50.4Gyにし、遺残・再発と判定された場合の早めの救済治療施行などが挙げられる。臨床病期II/III (T4を除く)に対する5-FU 1000mg/m2 day1-4、29-32 + CDDP 75mg/m2 day1、29 (FP) + RT 50.4 Gy/28回の多施設共同第II試験では遅発性有害事象の軽減と生存率の改善を認め、2014年に登録が終了したJCOG0909では同じ化学放射線療法のレジメンとともに救済治療の時期、適応規準、術式を統一しており、その結果が待たれる。その他、強度変調放射線治療や粒子線治療などの新しい照射技術、治療機器による有効性向上や有害事象軽減も期待でき、現在臨床試験を施行中である。
一方、手術を前提とした場合、海外で施行されている術前化学放射線療法について、本邦の手術との併用で治療成績向上に寄与するかは不明である。臨床病期II/III (T4を除く)食道癌の31例に対して施行した。
5-FU 1000mg/m2 day1-4、29-32 + CDDP 75mg/m2 day1、29 + RT 41.4 Gy/23回の多施設共同実施可能性試験の結果、29例でR0手術までを完遂し、pCRが42%、2年生存割合77.4%と有効性が期待できた。現在、術前FP、術前DCF (Docetaxel + FP)、術前FP+RTの3群を比較するJCOG1109を施行中であり、この結果により本邦における術前化学放射線療法の有用性の有無が判明する。
さらに効果予測・効果判定は解決すべき重要な課題であり、治療開始前の放射線感受性の予測や化学放射線療法後の効果判定の正確性についてさらなる研究開発が望まれている。

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