演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

センチネルリンパ節同定による食道がん治療の個別化

演題番号 : OS2-4

[筆頭演者]
竹内 裕也:1 
[共同演者]
川久保 博文:1、中村 理恵子:1、高橋 常浩:1、和田 則仁:1、北川 雄光:1

1:慶應義塾大学医学部外科

 

[目的]画像診断技術の進歩した今日においても、食道癌術前リンパ節転移診断の精度は満足できるものではない。しかしcN0食道表在癌におけるリンパ節転移の有無、局在を正確に把握することができれば、画一的な頸胸腹3領域郭清を回避し新しい治療戦略が可能になるものと考えられる。今回我々は食道表在癌切除例におけるセンチネルリンパ節(SN)生検の成績を検討した。
[対象と方法]これまで当科で cT1N0、cT2N0食道癌根治手術症例約120例に対してradioisotope法によるSN生検を施行した。今回術中SN生検を施行したpT1食道癌70例の成績を検討した。またcN0食道表在癌に対する化学放射線療法の個別的照射野設定にSN mappingを応用した16例について検討した。
[結果] SNは施行70例中66例(94%)で同定可能であり、胸腔鏡・腹腔鏡手術においても施行可能であった。リンパ節転移検出感度は91%、SNを指標としたリンパ節転移診断の正診率は97%であった。SNの分布を検討してみると頸部から腹部まで広範囲に分布しており、 SNの一部が3群リンパ節以遠に存在する症例が25%に認められた。とくにMt症例では34%の症例で3群以遠にSNが存在していた。しかしSNを同定しえた66例中56例(85%)はリンパ節転移なし、あるいはSNのみの転移であった。SNのみの転移例はSN以外にも転移を有する症例よりも有意に予後が良好であった。SN mappingを応用した化学放射線療法例は全例リンパ節再発を認めなかった。
[結論] cN0食道表在癌に対する術中の効率的かつ正確なリンパ節転移診断や重点的リンパ節郭清領域の設定、頸部郭清の省略、腹部食道癌に対する術式の選択等にSN生検が有用と考えられた。また化学放射線療法の個別的照射野設定にSN mappingが応用できると考えられた。胸腔鏡・腹腔鏡下SN生検とEMR/ESDの組み合わせは解決すべき問題点は残されているものの新しい低侵襲治療法として期待される。

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