演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

骨軟部腫瘍に対する手術療法の進歩

演題番号 : OS18-5

[筆頭演者]
尾崎 敏文:1 
[共同演者]
国定 俊之:2、武田 健:1,3、藤原 智洋:1

1:岡山大学大学院医歯薬学総合研究科整形外科、2:岡山大学大学院医歯薬学総合研究科運動器医療材料開発講座、3:岡山大学大学院医歯薬学総合研究科運動器知能化システム開発講座

 

骨軟部腫瘍の治療成績は近年大きく進歩した。それには強力な抗癌剤全身化学療法の普及のほかに、画像診断技術の進歩、切除縁の概念の普及、再建技術の向上が大きな要因を占めている。はじめは、患肢が温存できればある程度機能が不良でも満足される患者が多かったと思われる。しかし、近年では患肢温存は当然であり、さらに患肢機能について患者の要求も高いものになっている。本セッションでは一般的に行われている骨軟部腫瘍の外科的治療について述べる。
病巣掻爬は良性骨腫瘍に対する一般的な手術方法である。内軟骨腫などは、病巣掻爬のみで治癒することが多い。再発傾向のある骨巨細胞腫などでは、掻爬のあとでアルゴンレーザーなどで焼灼処理を行うこともある。掻爬後に骨欠損の大きい症例では、自家骨移植や人工骨移植を追加する。骨巨細胞腫の掻爬後の骨欠損部には、残像腫瘍細胞に対する熱による効果や関節周辺の力学的な安定性を目的として骨セメントが充填されることがある。一方、類骨骨腫に対してはCTガイド下のラジオ波焼灼術が普及してきている。低侵襲の術式で再発率も許容範囲内であり有用な方法である。
骨肉腫をはじめとする高悪性度骨腫瘍は原則として広範切除縁以上の切除縁を確保する必要がある。近年は切除の際のナビゲーション手術の重要性が認識されており、特に骨盤腫瘍の切除などで威力を発揮している。悪性骨腫瘍切除後広範囲骨欠損の再建には、人工関節などを用いる非生物学的再建と、同種骨、自家処理骨や血管柄付き腓骨などを用いる生物学的な再建方法がある。一般的には、腫瘍用人工関節による再建が最も広く用いられている。しかし、どの方法も利点と欠点を有する。患者視点に立った総合的な判断で切除後の再建手術を行うことが術者には求められていると思う。また、特に高悪性度の骨盤腫瘍切除後には、感染症などの合併症を防ぐとともに化学療法のdose intensityを維持していくことが重要である。今後はさらに再建した患肢の機能が重要になるとともに、感染など合併症のリスクの低い材料や手術術式の開発さが期待される。
軟部腫瘍では、切除時に神経血管の切除を余儀なくされる例、切除後の軟部組織欠損が大きな症例などは、形成外科医の協力が必要不可欠となる。形成外科医の協力により、従来は再建手術が難しかった症例も患肢温存手術が可能となっている。

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