演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

Ewing肉腫特異的EWS/Fli-1融合遺伝子を標的にしたRNA創薬

演題番号 : OS18-2

[筆頭演者]
赤尾 幸博:1 

1:岐阜大学大学院連合創薬医療情報研究科創薬科学

 

【目的】Ewing肉腫は小児に発症する悪性骨軟部腫瘍である。化学・手術・放射線療法などの治療が行われているが、5年生存率が約50%と予後不良な疾患である。Ewing肉腫は、染色体相互転座t(11;22,q24;q12)による特有な融合遺伝子EWS/Fli-1を持つ。EWS/Fli-1遺伝子の融合部位に特異的なsiRNA(siEF)をEwing肉腫細胞に導入すると細胞増殖を抑制することが観察された。しかしながら、その詳しい機序はまだ明らかになっていない。本研究では、その機序を明らかにし、non-codingRNAによる分子標的薬の治療に貢献することを目的とした。
【方法】Ewing肉腫細胞株TC135に対してsiEFのトランスフェクションを行った。経時的な生細胞数の検証、細胞周期解析、Hoechst 33342を用いた染色、Western blot法による生化学的な解析、電子顕微鏡による形態学的な観察、オートファジー抑制剤の併用による細胞死の検証を行った。さらにmicroRNA-145の併用を行った。
【結果】siEFによって有意な細胞増殖抑制を認め、IC₅₀は25nMであった。投与72時間後から再び顕著な生細胞数増加が確認された。細胞周期解析ではS期への移行が妨げられ、G0/G1期にピークが見られた。Hoechst33342染色やWestern blot法による生化学的な解析においてApotosisの所見を認めなかった。LC3B-ⅠからⅡへの移行が亢進しており、電子顕微鏡による観察では細胞質内にオートファゴソームを確認した。オートファジー抑制剤であるBafilomycin A1を併用すると生細胞数は不変であったが、3MAを併用すると生細胞数は減少した。miR-145の併用効果も認めた。
【考察】siEFによる細胞増殖抑制は、G0/G1期での細胞周期arrestが起こり、オートファジーの誘導によるものであった。siEFとEWS/Fli-1を標的とするmiRNA-145の併用による細胞死の検証やsiEFへの効果的な化学修飾の評価について報告する。また、新規な薬剤搬送システムを用いたRNA創薬の試みも紹介する。

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