演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

腹腔内洗浄液を用いたミニチップ診断の臨床応用

演題番号 : OS17-4

[筆頭演者]
深川 剛生:1 
[共同演者]
佐々木 博己:2、森田 信司:1、藤原 久貴:1、和田 剛幸:1、片井 均:1

1:独立行政法人国立がん研究センター中央病院胃外科、2:独立行政法人国立がん研究センター研究所

 

【背景】進行胃癌の再発形式のなかで最も重要なものは腹膜播種であり、洗浄細胞診(Cy)陽性がその予測因子として臨床的に用いられている。1990年代の国立がんセンター中央病院の成績ではCy陽性胃癌患者の5年生存率は7.8%(95%CI:2.0-13.5)であった。しかし肉眼的腹膜播種がなくCyが陰性でも腹膜播種再発する患者は依然多く、根治手術が行われた進行胃癌患者に対する再発予測の指標となる因子の検証が、分子生物学と臨床の架橋として重要と考えられる。
【方法】国立がんセンター研究所腫瘍ゲノム解析・情報研究部において、1.胃癌細胞株の網羅的マイクロアレイ解析によりマーカー遺伝子のスクリーニング、2.国立がんセンター中央病院胃外科における進行胃癌患者98名の腹腔内洗浄液を後向きに検討することにより6遺伝子(CEA,TFF1,FABP1,CK20,MUC2,TACSTD1)を含む診断用ミニチップを作成、3.2004年の進行胃癌患者の洗浄液について前向き試験を行った。
【結果】肉眼的播種なくCy陰性で根治手術が行われた143例中、ミニチップ陽性29例の予後はCy陽性例と同等に不良で、20例(69%)に再発を認めた。またチップ陽性・リンパ節転移陽性例(22例)では19例(86.4%)に再発を認め、さらに高危険群と考えられた。逆にミニチップ陰性・リンパ節転移陰性例(46例)では2例(4.3%)に再発を認めたのみで、低危険群と考えられた。チップ陽性例の再発形式は多くが腹水、腸管狭窄、水腎症などの播種性再発であったが、血行性再発やリンパ節転移再発も含まれていた。
【結論】腹腔内洗浄液を用いたミニチップ診断は、根治手術が行われた進行胃癌に対する悪性度評価・予後予測診断として有用であることが示され、キットとして製品化の予定である。また2010年12月以降進行胃癌症例サンプルの検討を開始した。術前化学療法施行症例の化学療法前後のミニチップ診断により化学療法の効果判断・予後予測を検討中である。

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