演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

胃癌の治療開発に関わるバイオマーカー検索と病理標本を用いた個別化治療への展望

演題番号 : OS17-2

[筆頭演者]
落合 淳志:1 

1:国立研究開発法人国立がん研究センター研究所基盤的臨床開発コアセンター

 

胃癌は我が国におけるもっとも罹患の多い癌であり、我が国のこれまでの胃癌研究により早期胃癌の概念の確立とともに、診断法や治療法の確立により現在では早期診断および早期治療が可能になったがんの代表である。一方、進行した状態で検出された胃癌症例に関しては必ずしも有効な治療法は確立されていない。2011年になり、HER2陽性胃癌に対してトラスツヅマブの投与が認められ、胃癌患者の個別化治療が開始されてきた。現在まで、胃癌において病理標本を用いた患者個別化への臨床応用はHER2検査だけであるが、今後多数の薬剤とそれぞれの個別化マーカーの出現により、病理標本を用いた個別化治療へ進むと考えられる。私たちは、胃癌における遺伝子変化は肺癌に比べいわゆるドライバー変異は乏しく、HER2を始めとした膜型チロシンキナーゼの遺伝子増幅および発現増加が高いことが考えられたために、およそ1000症例の胃癌Tissue microarray (TMA)を作製し、胃癌標的治療のためのバイオマーカーとしてHER2、EGFR、cMET、FGFR2の4種類の標的分子の発現および遺伝子増幅を検索した。これらの発現が胃癌の60%に陽性であり、胃癌治療の新しい標的になりえることを示して来た。一方、個別化医療を推進するためには、遺伝子検査では一度に多数の分子を評価できるが、免疫染色、FISH法では3個、4個の標的分子を順に調べることは時間がかかり、実際の臨床には必ずしも適していない。そこで、HER2、EGFR、cMETの3種類の標的分子に関してスクリーニングシステムを構築し、その臨床的な有用性について前向きに検討したところ、適切なスクリーニングのための判定情報を加えることで、胃癌患者の病理標本を用いたスクリーニングも可能になることが示された。最後に、同一切片を用い2重染色による判定までの時間短縮技術についても検討し、病理切片を用いた新しい診断法が個別化治療へ応用可能であることが示された。

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