演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

難治性腎がんの新規治療開発 - VHL病患者由来iPS細胞を用いた疾患モデルの確立

演題番号 : OS1-6

[筆頭演者]
中村 英二郎:1 
[共同演者]
小川 修:2

1:京都大学大学院医学研究科メディカルイノベーションセンターDSKプロジェクト、2:京都大学大学院医学研究科泌尿器科学

 

Von-Hippel-Lindau disease (VHL病) はVHL遺伝子のgermline mutationに起因し、常染色体優性遺伝形式をとる家族性腫瘍症候群である。患者はVHL+/-の遺伝形質を有しており、約40%の症例でRCCを発症し主要な死亡原因となっている (B. Maher et al. Eur J Hum Genet 2011)。VHL病患者の腎組織に多発したRCC病理組織所見からは、VHL-/-のgenotypeを示すoligoclonalな尿細管上皮より腫瘍が発生している可能性が高いことが示されており(S. Mandriota et al. Cancer Cell 2002)、また、VHLの標的分子であるHypoxia Inducible Factor-2が腫瘍の進展に働くことが知られているが (K. Kondo and E. Nakamura et al. Cancer Cell 2002)、VHL KOマウスではヒトの表現系が全く再現されないため腫瘍発症機構には未だ不明な点が多い。
近年の Exome Sequencingの結果、VHL以外に同遺伝子近傍の第3染色体短腕に位置するPBRM1, SETD2, BAP1がRCCにおいて変異していることが明らかとなった。中でも、 BAP1変異を有する症例では有意に予後不良であることが報告されているが、上記の遺伝子変異がRCCの発症、腫瘍進展に働く機構は必ずしも明らかとなっていない (I. Varela et al. Nature 2011、S. Pena et al. Nat Genet. 2012、Y. Sato et al. Nat Genet. 2013) 。そこで、実臨床においてRCCを発症したVHL患者由来iPS細胞を用いた疾患モデルを構築し、上記の遺伝子群のノックアウトを行えば、RCC発癌機構の解明が可能であり新規治療標的分子の同定に繫がる可能性が高いと考え研究を開始した。現時点でVHL患者2症例からのiPS細胞樹立に成功しており、本年度中には合計4症例から樹立の予定である。これまでの研究の進捗状況に関して発表を行う。

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