演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

小径の腎がんの臨床的取扱い-凍結療法とラジオ波焼灼術

演題番号 : OS1-3

[筆頭演者]
鴨井 和実:1 
[共同演者]
本郷 文弥:1、納谷 佳男:1、中村 晃和:1、内藤 泰行:1、岩田 敦子:1、中西 弘之:1、沖原 宏治:1、三木 恒治:1

1:京都府立医科大学大学院医学系研究科泌尿器外科学

 

小径腎癌に対する治療は、1990年代から腎部分切除術が行われるようになり、現在でもその根治性の高さから標準的治療となっている。しかし、単腎症例や腎機能の低下を有する症例では、部分切除術による腎血管の阻血が問題となり、質の高い腎機能の温存が困難となる。ラジオ波焼灼術(RFA)や凍結療法といったablation therapyは治療による腎機能低下を最小限に抑えることが可能であり、経皮的なアプローチを使えば局所麻酔下での手技が可能である。つまり、単腎症例や慢性腎不全を有する症例、または全身麻酔に伴う合併症のリスクが高い症例等がablation therapyのよい適応となる。
現時点においても小径腎癌に対する外科的切除とablation therapyを比較した無作為前向き試験は行われていない。従って2014EAUガイドラインでの小径腎癌に対するRFAもしくは凍結療法を用いたablation therapyのエビデンスレベルは3(よくデザインされた非実験的記述的研究による、比較研究、相関研究、ケース・コントロール研究など)、推奨グレードは C(勧められるだけの根拠が明確でない)となっている。また、最新のNCCNガイドライン(version 3. 2015)でもablation therapyは外科的切除と比較して局所再発の可能性が高いことが指摘されており、その使用は外科的切除に向かない状態の症例に考慮されるべき(カテゴリー2A: 臨床経験などの比較的低水準のエビデンスに基づき、推奨が適切であるという NCCN の一致したコンセンサスがある)であるとしている。
小径腎癌に対する主なアウトカム評価項目は全生存率、疾患特異的生存率、周術期合併症、術後腎機能およびQOLである。Ablation therapyの比較対象となる治療技術は外科的腎部分切除術(開腹もしくは腹腔鏡下、あるいはロボット支援手術)とactive surveillanceである。本来は、様々な合併症や腫瘍の状態(大きさ、深さ、腎門部との距離)を有する症例での無作為前向き試験によって長期予後を含むアウトカム評価が行われるべきであるが、現実には比較的合併症が少なく切除が容易な状態の腫瘍に対して外科的切除術が行われており、比較的条件の悪い症例に対してablation therapyやactive surveillanceが行われている。Ablation therapyは手術治療が困難で腎機能の保持が望ましい症例に対する腫瘍学的コントロールを目標とした治療のオプションであり、今後も症例数は増加すると考えられる。

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