演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

小径腎がんの臨床的取り扱い-手術療法(ロボット支援腎部分切除術を中心に)

演題番号 : OS1-2

[筆頭演者]
三宅 秀明:1 
[共同演者]
藤澤 正人:1

1:神戸大学医学部泌尿器科

 

検診の普及および画像診断の進歩を反映し、現在診断される腎がんの約2/3は、T1aに該当する4cm以下の小径腎がんである。これらに対しては、腎部分切除術が、腎機能保持に優れ、腫瘍制御に関しても根治的腎摘除術と同等であることから、標準療法として広く施行されている。一方、腎部分切除術のアプローチとしては、近年導入されたda Vinciシステムを用いたロボット支援腎部分切除術(RAPN)が、他の術式を凌ぐ良好な成績を挙げつつあることが報告されている。そこで、本講演では前半で、小径腎がんに対する手術療法の成績をアプローチ別に比較することにより、RAPNの特徴を明らかにする。
次いで、当科におけるRAPNの手技上の工夫および初期成績を報告する。2011年6月から2014年3月までの間に、当科でRAPNを施行した95例のうち、先進医療として施行した36例を除く59例の周術期成績を検討した。当科ではRAPNを施行するに際し、術前造影CTデーターからOsiriXを用いて3D画像を再構築し、腫瘍および血管系の詳細な解剖学的情報を、Tile Proを用いてコンソールモニターにリアルタイムで投影するシステムを導入している。また、腫瘍栄養動脈が腎実質外で同定可能な症例に対しては、選択的動脈遮断による腫瘍切除を積極的に試みている。59例中31例に選択的動脈遮断下での腫瘍切除を施行し、全例において腎動脈本幹の完全遮断に変更すること無く腫瘍切除を完遂し、切除断端は全例において陰性であった。術後合併症は、Clavien grade 3に該当する2例を含む6例に認めた。59例のコンソールタイム、温阻血時間、出血量および切除組織重量の中央値は、それぞれ211分、23分、35mlおよび21gであったが、選択的動脈遮断の有無により、コンソールタイム、温阻血時間および出血量に有意差を認めなかった。また、RENAL nephrometry scoreと、切除腫瘍重量およびeGFR低下率は有意に相関したが、コンソールタイム、温阻血時間および出血量等とは相関を示さなかった。さらに、特に手技が困難とされる腎門部腫瘍症例に対するRAPNと開放腎部分切除術の成績を比較したが、温阻血時間およびeGFR低下率は同等であり、出血量を含むRAPNの侵襲度における優位性が明らかとなった。
RAPNの成績は腫瘍制御、機能温存および安全性のいずれにおいても良好であり、小径腎がんに対する有力な治療選択肢として広く普及することが期待される。

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