演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

稀少組織型の腎がんに対する個別的対応

演題番号 : OS1-1

[筆頭演者]
伊藤 敬一:1 
[共同演者]
浅野 友彦:1、腎癌研究会 共同研究グループ:2

1:防衛医科大学校泌尿器科学講座、2:腎癌研究会

 

腎がんの大部分を占める淡明型腎細胞癌に対する治療法のエビデンスは確実に積み重ねられているが、非淡明型腎細胞癌(ncRCC)に対する治療法は、その稀少性ゆえに確立されていない。限局性腫瘍に対してはいずれの組織型にも局所切除が基本となるが、転移性腫瘍に対する治療の確立が特に課題である。最新版のNCCNガイドライン(2015, version 3)においても進行性のncRCCに対する治療は混沌としておりpoor risk症例に対するテムシロリムスがcategory 1とされる以外、エビデンスのある治療はないと言っていい。そもそもncRCCという遺伝的な背景が異なる多様な組織型が混在した集団に対して、一律に選択すべき薬物治療を決定するという考え方には無理があると言わざるを得ない。このように稀少なそれぞれの組織型に対する個別の治療を確立するためには、多施設共同研究により症例を集め、個々の組織型について検討していく必要がある。その一つの試みとして腎癌研究会の共同研究において転移性の乳頭状腎癌(pRCC)および嫌色素性腎細胞癌(chRCC)に対して検討しており、特にpRCCに関しては症例の登録が終了した。ChRCCに関しては多施設共同研究においてもいまだ登録症例が少なく検討が難しい。PRCCに関しては中間的な集計において、スニチニブは1st lineないし2nd lineに使用すべき、ソラフェニブは3rd line以降でも有効例があり、またdurable SD症例がある、テムシロリムスも有効であるが効果は短期間であるという結果を得ている。本学会においてpRCCに対する最終的な集計結果を報告したいと考えている。その他、集合管癌、粘液性管状紡錘細胞癌(MTSCC)、転座型腎細胞癌などのさらに稀少型の組織型の治療についても可能ならば考察したい。集合管癌に関しては、組織学的に尿路上皮癌に近い形態をとるため、GC療法が現時点では第一選択と考えるが、分子標的治療の報告も散見される。MTSCC、転座型腎細胞癌、その他の組織型に対する個別的な治療法も今後検討が必要と思われるが、確立された治療法はない。本シンポジウムでは、現時点での稀少型腎がんに対する治療法につきサマライズしたいと考えている。

前へ戻る