演題抄録

基調講演

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

グリオーマ治療における外科治療の進歩

演題番号 : KL32

[筆頭演者]
三國 信啓:1 

1:札幌医科大学医学部脳神経外科

 

グリオーマの治療において、一定以上の手術摘出率は予後と相関する。脳機能を温存して最大の摘出を行う最新外科治療について解説する。手術前の非侵襲的な脳波、脳磁図(Magnetoencephalography; MEG)、脳機能MRI (functional MRI)、PET (Positoron Emission Tomography)では各人の詳細な脳表構造を再現して、その上に詳細な機能マップを描くことができる。検査パラダイムの改良によって一次機能のみならず、高次脳機能の活動部位の同定を行うことができるようになっている。さらに拡散テンソル画像法(Diffusion tensor imaging)使用によるMRIによって、脳表からの神経線維の連絡を画像化することが可能となっており、脳全体としての解剖学的機能的連絡やその状態について検討できる。これらの画像をナビゲーションシステムに取り込むことによって、手術中に解剖に関する画像や脳機能情報をリアルタイムに評価しながら手術を進めることが可能となった。最近では手術室内に頭部CTやMRIを導入することにより、これまで問題であった開頭後の脳の歪みによる位置のずれを補正できるばかりでなく、病変をどこまで摘出しているかを判断できる施設もできてきた。また、超音波や内視鏡による画像をナビゲーションシステムに取り込んで使用する方法が報告され、今後の脳外科手術の新たなスタンダードとなる可能性がある。
ところで、最新の脳機能諸検査にも関わらず、脳電気刺激による機能マッピング、モニタリングはその時間的空間的分解能により依然最も信頼できる結果を提供する。上述の様々な脳機能検査の結果は脳電気刺激によって得られた結果と対比されてその意義を確立しつつあると同時に、脳機能部位であっても永続する障害を残さずに摘出が可能であるのかどうか、そしてその機能回復機構はどのように行われているのか、を検討できるようになってきている。覚醒下手術では、手術中に運動、感覚、言語などの機能を確認しながら腫瘍などの病変を安全にかつ最大限に摘出することが可能である。術前の脳機能マッピングと術中モニタリングを組み合わせて、さらに場合によって覚醒下手術で最終的な脳機能確認を行なえるようになってきた現在では今後、それぞれの情報の正しい理解と疾患に応じた摘出範囲の検討が必要となる。

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