演題抄録

基調講演

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

放射線感受性のバイオマーカー:開発の現況と将来展望

演題番号 : KL31

[筆頭演者]
秋元 哲夫:1 

1:国立研究開発法人国立がん研究センター先端医療開発センター粒子線医学開発分野

 

バイオマーカーは薬剤や放射線治療などの治療を含めた外部刺激に対する生体内の反応を反映する生体のマーカーの一つと言え、薬剤などに対する反応性の評価に初期は探索的に利用されてきた。癌治療におけるバイオマーカー研究も決して新しい取り組みではなく、古くは腫瘍マーカーやがん細胞の糖鎖抗原などがその代表的なバイオマーカーとして注目されてきた。前立腺癌のPSAなどは、臨床的などの指標よりも感度良く病巣の存在診断や病勢進行を反映することで、バイオマーカーとしての成功例のひとつである。最近では、EGFRやKRAS遺伝子の変異なども、ある特定の癌腫では分子標的薬剤の治療効果や反応性に関わることが明らかとなり、研究が精力的に行われている。
放射線治療もがん治療の根治的治療の重要な選択肢であるが、がん細胞の放射線応答も対象とする腫瘍や生体による異なる。治療技術の開発で高い線量を正確に照射することが可能になってきているが、同じ腫瘍でも放射線感受性を含めてその反応性は一様ではない。加えて、化学療法や分子標的治療薬を放射線治療に併用する化学放射線療法を含めた重学的治療も、肺癌などいくつかの癌腫で標準治療として確立している。上記のようにがん細胞の放射線応答も対象とする癌腫や生体の環境などで様々な修飾を受けて、最終的な治療効果や放射線感受性などの臨床結果として現れる。そのため、治療技術の開発同様に、治療前の治療効果予測因子としてのバイオマーカー研究は重要である。上記のEGFRのその関連分子やヒトパピローマウイルス感染など、最近では放射線感受性の予測に有効なバイオマーカーも明らかになりつつある。バイオマーカーの探索的な研究は決して容易ではないが、医療資源の有効活用にも有益であり、その開発と臨床応用は重要な課題であり続けると考えている。本シンポジウムでは放射線感受性に関するバイオマーカー開発を中心に、その現況と今後の展望について述べる。

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