演題抄録

基調講演

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

乳がんドライバー遺伝子と分子標的治療の展望

演題番号 : KL16

[筆頭演者]
林 慎一:1 

1:東北大学大学院医学系研究科分子機能解析学分野

 

乳がんはこれまで、基礎研究の最先端の成果が最も臨床に反映されてきたがんである。分子標的治療の先駆けであるホルモン療法は、以前から広く臨床に導入され、著効を示し現在も乳がんの薬物療法の中心であるが、その背景には内分泌の基礎的理解の進歩と核内受容体研究の進展があった。また、分子標的治療としてER陰性HER2陽性乳がんに著効を示すHER2標的療法が成功を収めているのも基礎研究の貢献が多大であろう。また、乳がんの診断においてもマイクロアレイ等の分子生物学的解析法が新規診断法として現在、実臨床に導入されつつある。このような状況下においてもTN(Triple negative)乳がんやER陽性進行再発乳がんのような難治性乳がんに対する対応は依然として大きな課題として残されている。
一方、基礎研究、特に生命現象の分子生物学的理解は急速に進み、細胞増殖のドライバーとなる様々なシグナルの存在が明らかとなり、また、それらを標的とした新たな分子標的治療も次々に登場している。現在、複数の細胞内リン酸化シグナル経路、細胞周期制御因子、ヒストン修飾因子などが新規標的として注目されている。
このような状況の中で、今後の新規分子標的治療とこれまでの乳がん薬物療法の主役であるホルモン療法との関わりを理解し、適切で高精度な治療戦略を構築していくためには、もう一度、乳がんの増殖、進展にかかわるドライバー遺伝子、ドライバーシグナルについて情報を整理し、基礎的考察を加えていくことは有意義であろう。演者らのこれまでの研究結果も踏まえ、これらの点について議論したい。

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