演題抄録

基調講演

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

スーパーコンピュータが暴き出したがんのシステム異常

演題番号 : KL12

[筆頭演者]
宮野 悟:1 

1:東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター

 

複雑な生命のシステムの全体像に迫るには、これまでの分子生物学的方法論だけでは無理がありそうだということが認識され、がんを理解するためのゲノムをはじめとする多様なオミクスデータの急激な増大への挑戦は、スーパーコンピュータを活用したがん研究を新たな次元に放り込んでいる。がんのシステム異常の理解や様々な予測のための数理的方法論が導入され有効性を発揮している。講演者らのグループは、気象学や経済学で威力を発揮している状態空間モデル、ベイジアンネットワークなどを駆使した生命システムをとらえるための新たな数理モデリングの方法を開発し、予測能力をもった数千の分子のネットワーク「予測する地図」をデータから構築するためのソフトウェアを開発し、ヒトゲノム解析センタースーパーコンピュータや「京」コンピュータを使い、ゲノム変異の網羅的解析だけでなく、予後の良・不良などの裏にある個々人のがんの遺伝子ネットワークの特徴の俯瞰、個々人のがん組織においてがんがヘテロ性を獲得していく数理原理をシミュレーションで追う研究、数百のがん細胞株に対して100以上の薬剤感受性・耐性を支配している遺伝子ネットワークの構造の相違、がん融合遺伝子の網羅的解析などについて報告する。また、こうした研究のもと、東大医科研のがんの臨床シークエンスシステムとNew York Genome Centerなどに導入されているIBM Watsonの可能性についての話題も提供する。

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