演題抄録

基調講演

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

がん分子標的治療時代における薬剤部の役割

演題番号 : KL1

[筆頭演者]
加藤 裕芳:1 

1:東邦大学医療センター大橋病院薬剤部

 

 がん細胞の中の特定な分子を標的とした抗がん薬、分子標的薬ががん薬物治療に加わって10年以上が経過した。分子標的薬は各種がん腫に対し、従来から使用されてきた殺細胞薬との併用や単独療法において高い有効性を示し、抗がん薬治療を大きく前進させた。一方、開発当初は軽いと思われていた副作用だが、高血圧、手足症候群、皮膚障害、出血、重篤な間質性肺炎など多様な副作用が高頻度で発生し、がん患者のQOLを著しく低下させるとともに重篤な副作用による死亡例も報告され、減量、休薬などの適切なマネージメントが求められている。さらに、これら分子標的薬はがん細胞中の遺伝子変異などをバイオマーカーとし、治療効果を予測した個別化治療が進んでいる。
このように分子標的薬が中心になりつつあるがん薬物治療において、求められる薬剤部の役割とは何か。2014年6月、薬剤師法が改正され、従来の「情報提供義務」から「薬学的知見に基づく指導義務」が追加された。それは私たち薬剤師に対して入院・外来全ての患者に対して責任のある薬学的管理、ファーマシューティカルケアの実践を求めている。そのために、個々の薬剤の適正情報のみならず個々の患者の情報も熟知する必要がある。そしてそれらを専門の医療チームの中だけではなく、病院薬剤師と薬局薬剤師間でも共有しなければならない。ファーマシューティカルケア実践に向けて「採用時のレジメン審査及び副作用対策の検討」「院内外での副作用モニタリングによる早期発見、重篤化の回避」「有害事象自発報告データーベースの活用」「がん専門薬剤師による協同・連携薬物治療の推進」「おくすり手帳など患者情報ツールの有効利用」「ホットライン(在宅患者のサポート体制)の開設」「医療経済」など具体的な薬剤部の取り組みについて紹介したい。

前へ戻る