演題抄録

教育シンポジウム

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

がんのリスクを考慮したがん検診の在り方

演題番号 : ES6-2

[筆頭演者]
濱島 ちさと:1 

1:国立がん研究センターがん予防・検診研究センター

 

医療サービスの個別化が進められている現在、がん検診においても個別リスクを考慮した方法が求められている。がん検診の方法には、がんを直接扱う画像検査や検体検査がある。画像検査には、胃 X 線やマンモグラフィが該当し、検体検査には子宮頸部細胞診がある。これらの検査をがん検診法として評価する場合には、対象となるがん死亡率を指標とする必要がある。一方、がんを直接診断しない検査には、 問診、感染症検査、バイオマーカー検査がある。しかし、感染症検査であるHPV検査やバイオマー カー検査であるPSA はがん検診として用いられ、対象となるがん死亡率を指標として評価されている。現在期待されているリスク層別化検診は、バイオマーカー検査などでリスクを層別化し、リスクに応じたがん検診を提供するという方法である。リスクの応じた検診とは、その方法ばかりではなく、検診対象や検診間隔などを変える可能性もある。リスク層別化検診としてすでに導入されているのはHPV検査である。子宮頸がん検診にHPV検査を導入する方法としては、1)HPV検査後細胞診トリアージ、2)細胞診後HPV検査トリアージ、3)細胞診とHPV検査併用法がある。細胞診の結果とHPV感染の有無により、検診間隔の延長することが可能となる。HPV検査単独法あるいは細胞診との併用により、浸潤がん罹患率の低下が報告されている。これらの方法については、一部の国ではガイドラインで推奨あるいは対策型検診として導入されている。しかし、現在報告されている浸潤がん罹患率低下の研究には限界があるという観点から、慎重な立場をとる国々も多い。一方、リスク層別化検診とリスク層別化に用いるバイオマーカー検査などでスクリーニング後精密検査を行う検診が混同されている場合もある。胃がん検診については、ヘリコバクターピロリ抗体やペプシノゲン法によるリスク層別化の可能性は示されているが、これらの方法については画像診断との併用に関わらず胃がん死亡率減少効果が示されているわけではない。リスク層別化による方法として対策型検診として導入するためには、HPV検査を含む子宮頸がん検診と同様に、死亡率減少効果を検討する研究を行い、その上で導入を検討する必要がある。リスク層別化を伴う検診については、モデル評価の導入も期待されてはいるが、ガイドラインや政策決定においてその利用は未だ限定的である。

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