演題抄録

International Symposium

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

Defining the role of stem cell niche regulation in colon cancer using genome engineering

演題番号 : TIS2-3

[筆頭演者]
Sato Toshiro:1 
[共同演者]
Ohta Yuki:1、Fujii Masayuki:1,2、Sugimoto Shinya:1、Date Shoichi:1、Shimokawa Mariko:2、Matano Mami:1、Watanabe Toshiaki:2、Kanai Takanori:1

1:Department of Gastroenterology, School of Medicine, Keio University、2:Surgical Oncology, Faculty of Medicine, The University of Tokyo

 

我々は,腸管上皮オルガノイド培養を開発し,単一のヒト腸管上皮幹細胞から組織様の3次元構造を作り出すことが可能になった.オルガノイド技術により,幹細胞の人工的なニッチによる制御が可能となり,幹細胞の維持機構が解明された.また,本技術は患者大腸がんにも応用が可能であり,細胞株研究から脱却した新しいがん研究の展開が期待される.
大腸発がんは,近年の次世代シークエンス技術によりその遺伝子変異の大部分が5つのシグナル経路に集約されることがわかってきた.しかしながら,これらのシグナル経路がどの程度発がんに寄与するかは不明である.我々はヒト正常大腸上皮オルガノイドにゲノム編集技術を導入し,複数の発癌関連遺伝子変異をisogenicに導入することに成功した.5つのシグナル経路を変異させた大腸上皮はニッチ非依存的な幹細胞維持能を獲得し,異種移植したマウス腎被膜下での腫瘍形成を示した.しかしながら,これらの生着腫瘍は病理学的には悪性所見を認めなかった.一方,ヒト大腸がんオルガノイドは大部分のシグナル経路が正常であってもがん形質を示した.これらのことから,がんシグナル経路異常はニッチを介した幹細胞維持能に寄与するが,発がんには十分ではないことがわかった.これらの研究はシグナル経路とは異なる分子標的の存在を示唆し,未来のがん治療への応用が期待される.

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