演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

小児がん診療、集約化への道筋

演題番号 : S6-3

[筆頭演者]
小島 勢二:1 

1:名古屋大学大学院医学系研究科小児科学

 

わが国における小児がんの年間新規患者数は2000人~2500人と推定されている。一方、小児がん患者の治療にあたる施設は全国に200施設以上存在しており、1施設あたりの経験数は十分とはいえない。症例数が少ないことに加え、疾患の種類も多岐にわたることが、各施設の診療経験の蓄積を妨げている。このような背景から、厚生労働省の主導のもとに、小児がん医療・支援の提供体制の在り方についての報告書の中で、専門医療機関への集約化の必要性が提言された。この提言に基づき、小児がん拠点病院選定に向けての書類選考、ヒアリングがおこなわれた。選定にあたっては、症例数などの診療実績のみならず、人材育成、臨床研究、緩和ケアー、長期フォローアップさらに病診連携の実施状況まで評価され、平成25年2月に、総合得点の上位15施設が小児がん拠点病院に選定された。評価の透明性・公平性を担保する為に、ヒアリングは公開の会場でおこなわれ、選考過程や評価点についても厚生労働省のホームページ上で公開された。今回選定された15病院の内訳は、大学附属病院が8、小児病院が6、その他が1であった。15施設の年間新規小児がん患者数の中央値は、50人で28人から88人に分布した。小児病院/その他に属する7病院は、すべて、関東・近畿ブロックに所属し、とりわけ、関東ブロックからは大学附属病院が1施設も選定されていない。
今回の選考過程で、わが国における小児がん診療の問題点が浮き彫りになったが、とりわけ、臨床治験への取り組みやトランスレーショナルリサーチの遅れは深刻である。評価項目には、臨床研究の評価が含まれるが、小児病院のなかでは及第点とされる4.0以上の評価を得た施設は1施設もなかった。アジアを含め、海外の小児病院の多くは、大学附属で研究施設と密接に関連しているのに対し、わが国の小児病院は大学とは独立し、トランスレーショナルリサーチを含む研究施設をもたない。わが国において、主要な小児がんの多くは、多施設共同プロトコール研究がおこなわれており、定められた治療プロトコールに従った治療をおこなうには、不都合はないが、再発例を含め難治例の新規治療法を開発するには、わが国の小児がん診療体制には、はなはだ不備があるといわざるをえない。診療と研究との両立を図る小児がん治療チームが必要である。

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