演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

エピジェネティック異常を標的と発がんリスク診断とがん予防

演題番号 : S3-2

[筆頭演者]
牛島 俊和:1 

1:独立行政法人国立がん研究センター研究所エピゲノム解析分野

 

エピジェネティック異常は、がんのみならず、一見正常に見える組織にも既に蓄積している。特に、胃がんの場合、胃粘膜でのDNAメチル化異常の蓄積量と発がんリスクとがよく相関する[Maekita, Clin Cancer Res, 12:989; Nakajima, CEBP, 15:2317, 2006]。このDNAメチル化異常の蓄積量は、感染していたHelicobacter pylori菌の種類・期間やホスト側の反応を反映しており、生活歴を反映した発がんリスク診断が可能となる[Ushijima, Clin Cancer Res, 18:923, 2012]。我々はその実用化のために、胃がん患者を健常者からオッズ比23.8 (95%CI=3.7-153)で区別できるマーカーを分離した[Nanjo, Gastric Cancer, 15:382, 2012]。内視鏡的胃粘膜切除術後の患者800名以上について、これらを含む3遺伝子についてメチル化レベルを測定、3年間の追跡を行い、異時性多発胃がんの発生がDNAメチル化レベルにより予測できることを、今回、明らかにした。一方、がん予防の標的としても、DNAメチル化異常の蓄積抑制は有用である。Helicobacter pyloriを感染後、変異原物質N-methyl-N-nitrosoureaで処理したスナネズミに、DNA脱メチル化剤5-aza-2'-deoxycytosine (5-aza-dC)を投与すると、胃がんの頻度が55.2%から23.3%へと減少した(P < 0.05) [Niwa, Cancer Prev Res, 6:263, 2013]。5-Aza-dCそのもののヒトへの応用は副作用の存在により困難である。しかし、DNAメチル化異常誘発の部分を標的にするなどの方策により、新しいがん予防の標的として活用できる可能性がある。

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