演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

肝細胞癌に対する凍結治療

演題番号 : S2-5

[筆頭演者]
田邉 稔:1 
[共同演者]
永 滋教:2,3、日比 泰造:2、板野 理:2、若林 剛:3、北川 雄光:2

1:東京医科歯科大学医学部肝胆膵・総合外科、2:慶應義塾大学医学部外科、3:岩手医科大学医学部外科

 

[目的]われわれは、低侵襲性と局所根治性の両立を目指し2002年より肝癌に対する凍結治療を行って来たのでその成績を報告する。[対象・方法] 肝細胞癌150例に対して187セッション(Child A/B以上 = 56%/43%、初回/再発治療28%/72%)の凍結治療を施行。平均腫瘍径22.5mm、最大腫瘍径95mm、患者あたりの平均腫瘍数1.8個、最大10個。病巣へのアプローチ法としては,経皮62%、腹腔・胸腔鏡下8%、小開腹下26%、大開腹下3%(脾摘等併施)であった。術後の効果判定はダイナミックCTにて行った。[結果]ほぼ全例が一期的に治療され、凍結治療後の在院日数は経皮、内視鏡下、小開腹下、大開腹下のそれぞれで、7±5、9±4、15±10、28±14日であった。合併症として、凍結範囲の大きさに応じた一時的血小板減少を認め、初期症例の5%に後出血を認めたが、穿刺部へのフィブリン糊充塡による止血処置を導入して以降は出血を認めていない。文献的に報告されているクライオショックや凍結中のクラッキングは1例も認めなかった。凍結治療の特徴として、①複数のプローブの同時使用により大きな腫瘍の一期的治療が可能、②超音波によるアイスボールの描出によって凍結領域をリアルタイムに確認可能、③肝門グリソンに接する腫瘍の治療でも凍結による胆管障害が少ない、③局所麻酔下経皮治療での疼痛が少ない、などがあげられる。[熱凝固治療との比較]当科で凍結治療と熱凝固治療(RFA/MCT)を施行した5cm以下の初発肝細胞癌119例(凍結治療 / 熱凝固治療 = 55例/64例)を対象とし、腫瘍径に関して層別解析を行ったところ、2cm以下の腫瘍に関しては両治療の局所再発率に差は見られなかったが、2cmを超える腫瘍に限って比較すると凍結治療群の方が無局所再発期間は有意に良好であった(2400.0 ± 287.4日 vs. 1177.9 ± 366.5日: P = 0.004)。合併症発生率や術後在院日数に関しては両群に差は認めなかった。【結論】病巣への最適なアプローチと凍結治療を組み合わせることで、低侵襲性と根治性のバランスがとれた適応範囲の広い肝癌治療が可能となった。

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