演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

進行下部直腸がんと腹膜播種を伴う胃がんに対する温熱療法の新展開

演題番号 : S2-4

[筆頭演者]
浅尾 高行:1 
[共同演者]
中野 隆史:2、高橋 健夫:4、桑野 博行:3

1:群馬大学大学院医学系研究科がん治療臨床開発学講座、2:群馬大学大学院医学系研究科腫瘍放射線学、3:群馬大学大学院医学系研究科病態総合外科学、4:埼玉医科大学総合医療センター放射線科

 

 1991年より22年間、進行下部直腸癌に対する術前照射について温熱療法の追加、化学療法併用、照射野の限局化、入院治療から外来治療へとプロトコールの改良を継続し外来治療システムを完成させた。また胃がんの腹膜播種性転移には抗癌剤治療の併用により有意な延命効果を報告してきた。外科と放射線科との共同研究として行ってきたFeasibility studyの結果と現在進行中の前向きの臨床試験について報告する。
【対象と方法】
1,Rb進行直腸癌に対する術前温熱化学放射線療法
Rb進行直腸癌に対し照射野を限局した放射線療法(50Gy in 25fr)、温熱療法1hrx5x、Capecitabine内服による化学療法を併用した術前治療後可能な限り肛門を温存した手術を行った。
2.腹膜播種陽性胃癌に対する化学温熱療法
手術時にP+胃がんに対し胃切除後RF-8による体外加温(60分間)と併用してCisplatin 80mg/m2 を投与するPhase 2 study を行った。
3,術前化学放射線療法多施設共同試験
Primary endpoint をPathological CRに多施設共同術前化学放射線療法を開始。温熱療法の有無での解析を予定。
【結果】
1,直腸がん15例のFeasibility studyの結果はGrade 3の副作用はなく、深達度のDown Stageが44%、 Pathodogical CRが33%に認められた。入院にて5FU点滴行っていた時期(n=51)の結果(pCR 27.4 %, 肛門温存率90.2%)と差はなく良好な成績であった。
2,腹膜播種に対する温熱療法 を施行群(n=10)の1,2,3年生存率はそれぞれ60%, 48%, 36%でコントロール群の40%, 10%, 0%に比較して有意に良好であった。
【考察】
 欧米では術前化学放射線療法が下部直腸がんの標準療法となっているが、日本においては臨床試験として行うこととされており治療法が乖離している。治療抵抗性低酸素細胞に併用効果の高い温熱を組み合わせた放射線化学療法は日本独自の新たな治療として有望である。また腹膜播種は有効な療法がない難治性転移であるが、腹腔にとどまるという局所性を利用した温熱加温は理にかなっており、今後、臨床試験の結果により有用性が確認されると期待される。
【結語】
 海外から温熱療法を併用した臨床試験の成績が数多く報告されるようになっている。日本の優れた深部加温技術を利用した新規治療の開発とEvidenceの確立は急務である。

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