演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

癌の局所療法―現状と未来への展望―

演題番号 : S2-1

[筆頭演者]
三木 恒治:1 

1:京都府立医科大学大学院医学系研究科泌尿器外科学

 

癌局所療法(Focal therapy、FT)の目的は、臓器全体ではなく、癌の部分だけをピン・ポイントに治療することによって、癌の制御とともに標的臓器の機能温存を図り、低侵襲治療として治療に伴う合併症を軽減することで治療の適応の拡大をはかり、患者さんのQOLを高めることにある。またFTは原発巣のみならず、転移巣であっても局所のコントロール目的や、手術療法などに代わる、より低侵襲治療なmodalityとして有用である。すなわちFTは原発巣のみならず転移巣にも適応可能である。
近年FTが注目されてきたのは、高齢化に伴い、循環器疾患、腎機能障害、糖尿病など合併症を持つ、いわゆる手術ができないハイリスク症例の増加がある。さらに様々なテクノロジーの進歩が挙げられる。FTのmodalityとしては、手術療法、放射線療法、動注塞栓療法、ニューエナジーソースによるablationなどがあるが、それぞれの分野で技術革新がめざましく、以前は不可能であったFTを可能にしてきた。
エナジーソースは技術革新によりラジオ波治療、凍結療法、 温熱療法、レーザー照射、光線力学的治療(ホトダイナミック療法)、高密度焦点式超音波療法(HIFU)、Irreversible Electroporation (NanoKnife)など、選択肢が広がってきた。一方画像テクノロジーの進歩により、以前は穿刺できなかったような部位の穿刺が可能になってきた。さらに放射線治療もIMRT、サイバーナイフ等の他に、重粒子線治療、さらには中性子捕捉療法(BNCT)なども導入され、適応の拡大が可能となってきた。動注塞栓療法等についてもHCCなどでQOLの高い治療成績が得られている。これらの治療は一部では既に健保で認可されているものもあるが、多くは自費や先進医療の範疇にある。
FTは全身麻酔などのリスクを減らし、心疾患や肺疾患を合併する患者さんにも容易に導入可能であり、多くの施設では、これらの一部が導入されているが、これらの治療機器を総合的に導入したがん局所療法センターを設置することで、治療の選択肢が拡大し、個別化した幅広いニーズに対応が可能となる。
さらに今後手術療法などに代わって、癌の局所療法はますます発展することになるが、総合的に対応できるFocal Therapist を各科が協力して育成しFTの普及をめざしていくことが望まれる

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