演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

個別化予防を目指したゲノムコーホート研究の展望:消化器がんを中心に

演題番号 : S12-5

[筆頭演者]
田中 英夫:1 

1:愛知県がんセンター研究所疫学・予防部

 

個別化がん予防法の構成要素は、①対象者の遺伝体質と生活環境要因の双方からの個別化された罹患リスク予測(主として絶対リスクとして)、②その対象者の個別性に応じた、罹患リスク低減のための手段の提示(最適な検診受診間隔の提示による、進行がんの予防などもこれに含まれる)、③対象者の同意に基づく、個別化された予防手段の提供、の3つからなると思われる。このうち、ゲノムコーホート研究が担当するのは、主として①の部分となる。愛知県がんセンター研究所疫学・予防部では、同中央病院初診患者を対象に、大腸がん患者558例、コントロール1116例からなる症例対照研究を実施し、GWASで見出された12個のリスクalleleと、BMI、喫煙習慣、飲酒習慣、運動習慣、大腸がんの家族歴、食餌性葉酸の摂取量を組み合わせて、大腸がん罹患を予測するモデルの作成を試みた。このモデルでは、BMIや生活習慣などの既知のリスク要因の方が、リスクalleleに比べて、予測に寄与するインパクトが、相対的にかなり大きかった。このことは、日本人の大腸がんでは②、③の予防手段による個別化リスク軽減の余地が相対的に大きいことを示唆していると思われる。大腸がんに限らず、どの部位のがんにおいても、①の罹患リスク予測結果の日本人としての代表性を高め、かつ、遺伝的および生活習慣的要因の個別性をより深化させて、予測精度を向上させるためには、国内のより広域から、より多くの研究参加者をリクルートして観察を継続し、その膨大なデータを解析する必要がある。日本多施設共同コーホート研究(J-MICC Study)は、このような視点から、2005年から全国11の大学・研究機関において、69歳以下の一般住民を対象に、リクルートを行い、2025年まで追跡調査を行う、ゲノムコーホート研究である。2013年末までで、9万9千人をリクルートした。今後、上記のような先行研究結果をさらに発展、深化させる方向で、ゲノムコーホート研究から成果が算出されることが期待される。

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