演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

肥満・生活習慣病と胆道疾患(胆石・胆道がん)

演題番号 : S12-4

[筆頭演者]
正田 純一:1 
[共同演者]
山本 雅一:2

1:筑波大学大学院人間総合科学研究科消化器内科、2:東京女子医科大学医学部消化器外科

 

 食習慣の欧米化と運動不足に伴い,我が国の肥満者は成人人口の約30%を占める.肥満は肝胆道疾患(脂肪肝,胆石症,そして,肝がん,胆道がん)の発症にも密接に関連する.本講演では,肥満・生活習慣病と胆道疾患(胆嚢結石症,胆道がん),肝内胆管がんについて概説する.
  胆石症のリスク因子として,forty,female,fatty,fair,fecundの5Fが従来から言われてきた.多数の論文が胆石症のリスク因子を同定してきたが、それらの中でも肥満は重要な因子である.胆石症患者は非胆石症患者と比較して肥満傾向にある.胆石の発生率は,肥満男性では2倍に,女性では2.5倍に増加することが報告されている.
 胆道がんや肝内胆管がんは他の癌腫と比較して発生数が少ないことより,それらのリスク因子の解明はあまり進捗していない.胆道がんの疫学的因子として,胆石既往が胆嚢がんのリスクを上昇させることは知られているが,最近では,肥満・生活習慣病も胆道がんのリスク因子として予想されている.本邦で行われた大規模住民集団の追跡研究である「多目的コホート研究」の解析結果,胆石既往のあるグループでは,既往のないグループに比較して,胆嚢がんのリスクが3.1倍,肝外胆管がんのリスクが2.1倍であった.一方,肥満指数においては,胆道がん全体との関連性は認められなかったが,部位別では,肝外胆管がんにおいて,高度肥満者で約2倍の増加が認められた.
 また,海外の疫学研究より,肥満・生活習慣病と胆道がんや肝内胆管がんとの接点が見え始めている.すなわち,胆嚢がんの発生に関して,肥満の相対危険度は,米国の大規模調査では女性で2.1であり,一方,わが国では女性で4.5と報告されている.胆嚢がんは,男性では肝がんに次いで,女性では子宮頸がんに次いで肥満と強い関連性を有する癌腫である.しかし,肥満が胆石既往と独立した胆嚢がんのリスク因子であることに結論は得られていない.肝内胆管がんの患者数は近年世界的に増加しているが,リスク因子として肥満や糖尿病が関与することの可能性を指摘する報告が散見されてきた.米国におけるcohort studyでは,糖尿病における肝内胆管がん患者の発生が有意に高率に認められ.さらに,meta-analysisにおいても,糖尿病と肝内胆管がんの有意な関連性が示されている.
 今後において,肥満や生活習慣病が胆道発がんに果たす役割とその分子メカニズムについて解明が望まれる.

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