演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

臨床病理学的に示唆に富むLynch症候群関連子宮体癌の2例

演題番号 : P97-1

[筆頭演者]
高橋 怜奈:1 
[共同演者]
小宮山 慎一:1、山本 泰弘:1、久布白 兼行:1

1:東邦大学医療センター大橋病院産婦人科

 

【緒言】Lynch症候群(HNPCC)は常染色体優性遺伝形式を示す家族性悪性腫瘍であり、しばしは子宮体癌がその発端となる。本邦におけるLynch症候群関連子宮体癌は、日本産科婦人科学会の報告によると、全子宮体癌中の1.38%とまれであること、高分化型類内膜腺癌が73.5%を占め、非類内膜腺癌は認めないこと、FIGO I期が85.3%を占めること、等の特徴が報告されている。われわれは直近1年間のうちに、2例の新アムステルダム基準(1999年)を満たすLynch症候群関連子宮体癌を経験した。これらはいずれも従来の報告とは異にする臨床病理学的特徴を呈していた。
【症例1】42歳、1妊1産、既往歴なし、家族歴は祖父が結腸がん、父が結腸がん、伯父が直腸がん、妹が子宮体がん(37歳、類内膜腺癌)。不正性器出血を主訴に近医を受診、ホルモン異常の診断で6ヶ月間中用量ピルを処方されていたが、改善しないため当院を受診、子宮内膜肥厚および内膜生検で腺癌を認めたため、子宮体癌根治術を施行、術後診断は子宮体癌III C1期、pT1BN1M0、低分化型類内膜腺癌、右閉鎖節に転移陽性であった。術後パクリタキセルおよびカルボプラチンによる化学療法を6コース施行し経過観察中である。
【症例2】50歳、5妊3産、既往歴は33歳で尿管がん、45歳で盲腸がん、家族歴は父が結腸がん、伯母2人が結腸がん、姉が子宮体がん。不正性器出血を主訴に当科受診、子宮内膜肥厚および内膜生検で類内膜腺癌を認めたため、子宮体癌根治術を施行、術後診断は子宮体癌I A期、pT1AN0M0、低分化型類内膜腺癌と漿液性腺癌の混合型、脈管侵襲陰性であった。本人希望で術後療法は施行せず、経過観察中である。
【考察】直近12ヶ月の間に当院で初回手術を行った子宮体癌症例は23例であり、そのうち2例がLynch症候群関連子宮体癌であった。これらはいずれも低分化型類内膜腺癌で、1例はFIGO III期、1例は漿液性腺癌の共存を認めるという非典型例であったが、いずれも詳細な家族歴聴取により診断が可能であった。本症候群を診断する重要性は、発端者の治療やサーベイランスはもとより、近親者の発がんの早期発見および予防を行うことでもある。Lynch症候群関連子宮体癌は、従来の報告以上に身近な疾患であり、かつ臨床病理学的に多彩な像を示すことが示唆された。われわれは常に本症候群を念頭に実地臨床に望む必要がある。

キーワード

臓器別:子宮

手法別:病理

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