演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

腹腔鏡下胃切除ビデオから検討した幽門下部における血管解剖

演題番号 : P88-3

[筆頭演者]
藤原 道隆:1 
[共同演者]
田中 千恵:1、小林 大介:1、神田 光郎:1、山田 豪:1、藤井 努:1、中山 吾郎:1、小池 聖彦:1、野本 周嗣:1、小寺 泰弘:1

1:名古屋大学大学院消化器外科学

 

【目的】胃癌リンパ節郭清において重要なポイントのひとつは幽門下(No.6)リンパ節郭清である.この中枢側境界は,前上膵十二指腸静脈(ASPDV)と右胃大網静脈(RGEV)の合流部とされている,胃癌取扱い規約には,RGEVとASPDV(1本)が合流し,さらにその中枢側で副右結腸静脈(ARCV)と合流して胃結腸静脈幹(GCT)となって上腸管膜静脈(SMV)に流入する図が描かれている.しかし,実際の手術,ことに腹腔鏡下手術では拡大視効果で,同部の血管解剖の変異に遭遇することが多い.手術記録ビデオから局所解剖の検討を行った.【方法】2012~2013年の当科におけるハイビジョン・スコープを用いた腹腔鏡下胃切除術のうち,幽門部の血管走行が判定可能な症例25例について検討した.【結果】分枝パターンは多彩で,ASPDVの本数なども区別すると15種類あった.ARCVが,SMVに直接流入するのが3例(12%)あり,胃膵側の静脈と合流してGCTを形成している症例は22例(88%)であった.このうちARCVが合流する前に胃膵側の静脈が1本にまとまっている(gastropancreatic trunk: GPTとする)のは16例あり,うち11例は, ASPDVとIPVがまず合流し,その中枢側でRGEVが合流してGPTを形成していた.RGEV,IPV,ASPDVが同時に合流するのが3例,教科書的な,RGEV,IPVがまず合流し,その中枢側でASPDVが合流するタイプは2例に過ぎなかった.GPT非形成の6例では, ASPDV,IPVが合流した静脈幹とRGEV,ARCVがともに合流するタイプが3例,ASPDV, ASPDV,IPVがまず合流し,最中枢側でRGEVが合流してGCTとなるのが2例,ASPDV,IPV,RGEV,ARCVが同時に合流してGCTとなるのが1例であった.No.6リンパ節の境界であるRGEVとASPDVと合流部位での接続血管数を検討すると(単純にRGEVとASPDV 1本の合流の場合は3本),18例(72%)が3本であったが,4本以上が7例(28%)(4本5例,5本1例,6本1例)あった.接続血管にARCVが含まれる症例が6例(24%)あった.また,IPVの流入(合流)先は,16例(64%)がASPDVであった.【考察】RGEV処理の際に,意外な血管から出血することあるが,同部でASPDV以外の静脈が流入している症例が1/4程度あることに留意すべきと考えられる.また,IPVの流入先はASPDVであることが最も多く,RGEVを根部で処理しても,多くの場合,より深層にIPVが残っている.【結語】GCTの分枝形態は多彩で,RGEVとASPDVの多様な合流パターンの認識がより安全で精密な手術につながると考えられる.

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:内視鏡手術

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